Q.出願から登録までの期間と費用はどれくらいかかりますか?
審査が順調に進行した場合、出願から登録までは通常約6ヶ月から1年半ほどです。
何らかの拒絶理由等に該当した場合、応答期間を含め時間がかかります。その期間は各事件によって異なり、中には3年、5年と長期に及ぶこともあります。
出願から登録までに特許庁に納める費用は5万円弱(印紙代+登録料)ですが、手続を代理人に依頼する場合には、別途代理人費用が必要になります。(当所で代理させていただく場合、特許庁に納める費用と併せて、約14万円程度です。)
なお、拒絶理由への対応に対して意見書や補正書等を提出した場合には、別途費用が発生します。
Q.どのようなものが商標登録の対象となるのですか?
Q.どのような商標が登録にならないのですか?
自他商品の識別力のない商標
識別標識として機能しない商標は、登録を受けることができません。 (参考:商標法第3条 )
例:普通名称→時計について「時計」,宿泊施設について「観光ホテル」
品質(産地,販売地,色彩,数量,用途等)→「東京」「RED」「10回」「家庭用」
商標法第三条 商標登録の要件
自己の業務に係る商品又は役務について使用をする商標については、次に掲げる商標を除き、商標登録を受けることができる。
一 その商品又は役務の普通名称を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標
二 その商品又は役務について慣用されている商標
三 その商品の産地、販売地、品質、原材料、効能、用途、数量、形状(包装の形状を含む。)、価格もしくは生産もしくは使用の方法もしくは時期又はその役務の提供の場所、質、提供の用に供する物、効能、用途、数量、態様、価格もしくは提供の方法もしくは時期を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標
四 ありふれた氏又は名称を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標
五 極めて簡単で、かつ、ありふれた標章のみからなる商標
六 前各号に掲げるもののほか、需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができない商標
2 前項第三号から第五号までに該当する商標であつても、使用をされた結果需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができるものについては、同項の規定に関わらず、商標登録を受けることができる。
Q.商品商標とサービスマークの違いはなんですか?
Q.商標と商号の違いはなんですか?
Q.商号を商標登録するメリットとはなんですか?
類似商号は、同一の登記所管轄区内(同一市・町・村・区内)でのみ調整されます。従って、大げさに言えば、登記所の数だけ同一又は類似の商号が存在する可能性があるのです。
これに対し、商標権は、日本国内全域に及びますので、他人の登録や商標としての使用を防ぐことが出来ます。
Q.商標出願する前にすることはなんですか?
Q.自分で登録商標や出願中の商標を調べることができますか?
特許情報プラットフォーム(以下、「J-PlatPat」)の「商標検索」メニューを利用することで、誰でも無料で商標を調べることができます。
なお、J-PlatPatを利用した検索は、粗落とし(スクリーニング)に適していますが、類似商標のすべてを発見するには決して十分とはいえません。
また、意中の商標案が他人の商標と類似するかどうかを判断するには、「審査基準」や最新の審査傾向・判例等の知識が不可欠です。
J-PlatPatを利用した検索をクリアした商標につきましては、ぜひ、専門家による精度の高い調査をお勧めします。
Q.日本分類・国際分類とはどのようなものですか?
日本分類は、現在、我が国で採用されている国際分類が導入される前に使用されていた日本独自の商品区分の分類体系を指します。旧分類ともいいます。
日本分類は、4度大きく変遷しており、それぞれを、明治32年法(74区分)、明治42年法(67区分)、大正10年法(70区分)、昭和34年法(34区分)の区分と呼んでいます。
現在では、日本分類の元で登録された商標権を、更新を機会として、国際分類へ書き換える手続が行われています。
日本で国際分類が導入されたのは、平成4年4月1日からで、このときに新しく役務区分が追加され、役務商標(別名:サービスマーク)の登録が始まりました。
日本が国際分類を採用したのは、各国の商標制度の調和を図ろうとする国際的な流れに同調したいと考えたからです。各国が共通の分類体系を採用することで、国際出願の事務的な負担が軽減できます。
Q.商標見本の“標準文字指定”とは、どういうことですか?
出願書類に商標見本を記載する方法の一つで、【商標登録を受けようとする商標】の欄への記載を、簡略にしています。
文字のみで構成される商標に限りますが、見本作成時の書体(フォント)、文字(ポイント)の大きさなどの書式上の特性が考慮されていません。
利用上の制限があります。例えば…
- 一行書きで表せる商標に限ります。
- 字数制限があります。(30字以内)
- 使える文字と記号が決められています。
- すべての文字が同じ大きさ(ポイント)と決められています。
- 連続スペースを含めることはできません。
“標準文字指定”をすべきでない商標は、例えば…
- 複数の文字種表記(カタカナ表記「オンダ」とローマ字表記「ONDA」)をどちらも使用する。
- 文字の配列、間隔、字体など見た目の特徴が重要な意味を持つ商標。
Q.商標見本は、モノクロ(無彩色)とカラー(有彩色)のどちらで出願すべきですか?
実際の使用頻度が高い方をお選びいただくのが望ましいと考えます。
その差が色彩だけにあり、色を同じくするだけで、すぐに同一と認識できれば、モノクロとカラーを同じ商標と扱うからです。
まだ商標を使い始めておらず、色彩が未決定で変更が予定される場合、モノクロをお勧めします。
以下に該当するときは、カラーをお勧めする場合があります。
- 将来、別の色彩に変更する予定がない。
- 特定の色彩をイメージカラー、コーポレートカラーとして採用している。
- モノクロとカラーとでは、見た目の印象が大幅に変わる。
- 繊細な色遣いで、カラーでなければ特徴がうまく表現できない。
- 色彩以外には顕著な特徴がない。
Q.商標権の表示方法(Rマーク・TMマークなど)について教えてください。
Rマークは、米国商標法で規定されている「Registered(登録済み)」の表記ですが、日本においては、慣習上用いられているに過ぎず、表記が義務付けられておりません。
日本の商標法は、法第73条で「商標権者、専用使用権者又は通常使用権者は、商品もしくは商品の包装(もしくは役務の提供に共する物)に商標を付すときは、その商標にその商標が登録商標である旨の表示を付すよう努めなければならない」と定めており、通常、このような表記としては、『登録商標〇〇〇〇〇』や『商標登録第~号』が一般的です。
ただ、仰々しいので、片仮名や英文字の商標には馴染まず、近年はRマークが代用されていることが多く見受けられます。
他に、TMマークが有りますが、これは「Trade Mark」の略で、商標であることを謳うために表記されており、主に未登録の商標に使用されているようです。
登録を受けている商標であるなら、その旨明記することのメリットは大きいと思います。例えば、他人が無断で使うことを未然に防ぐ効果があると思いますし、信用の証ともなります。
いずれの方法によりましても、虚偽表示にならないのであれば、出願中のものについては、『商標登録出願中』や『TM』マーク、登録済のものについては、『登録商標』『登録第~号』『R』マークを表記されることをお勧めします。
Q.商標権の名義を変えることはできますか?
商標権は、名義人の住所・名称(氏名)だけでなく、名義を変えることができます。
頻度が高い名義変更は、売買による譲渡、会社の合併、会社の分割、権利者の死亡による相続等があります。この他にも、一名義人の権利を共有にする、一つの権利を複数に分割するなどがあります。また、名義人はそのままで他人に使用する権利のみを与える使用権の設定等もあります。
当然のことながら、出願中(未登録)であっても同様に変更することができます。
費用は、手続の事情ごとに異なりますので、詳しくはお問い合わせください。
関連情報:https://www.ondatechno.com/trademark/shutoku/henkou/
Q.出願中や登録後に住所、名称又は氏名に変更があった時はどうすればよいですか?
特許庁に変更した旨を申請する必要があります。提出書面は、変更の原因・発生時期によって異なります。出願中であれば、「名義変更届」「住所変更届」、登録後であれば、「表示更正登録申請」「表示変更登録申請」等の各書類の提出が必要です。 では、これらの手続を行わないとどういう時に問題が生じるかといいますと、例えば、
- 旧住所の商標権を理由に、他者に対し権利行使をするとき。
- 他の手続で登記簿謄本を提出するとき。
- 無効審判・取消審判を請求されたとき。
- 社名・住所の変更があったとき。
- 商標権の使用許諾・譲渡をするとき。
などが挙げられます。
特に3の場合のように、特許庁から名義人様宛に直接通知がある場合、旧住所のままですと書類が手元に届かず、対応出来ないこともあります。特許庁では、応答がなかったものと判断されますので、最悪の場合権利が取り消されてしまうことも考えられます。
Q.商標権の存続期間はどれくらいですか?
Q.商標権の侵害とはなんですか?
商標権は、商標権者が登録商標を指定商品又は指定役務(サービス)について独占排他的に使用できるものであり、第三者が正当な理由なく商標権の内容に属する行為を行うことは禁止され、これに反する行為は商標権の侵害となります。
- 登録商標と同一又は類似の商標を、指定商品・指定役務(サービス)と同一又は類似の商品・役務(サービス)について使用した場合
Q.侵害を発見したらどうすればよいですか?
商標権者は、指定商品・役務について登録商標を使用する権利を専有します。さらに、指定商品・役務及び登録商標と類似する範囲で他人の商標の使用を禁止することができます。
商標権を侵害(又はそのおそれ)する者に対しては、商標権者は差止請求等をすることができるほか、侵害により損害が生じた場合には、損害賠償を請求することができます。
侵害を発見した場合には、まず自己の商標権の内容と相手方の使用態様をよく調査したうえで、通常警告書等により通知し、それにより解決しない場合には、訴訟を提起することになります。
なお、商標は自他商品の出所識別機能を本質とするものですから、品質表示等、商品の出所識別標識として認識されない場合には、商標権の効力が及ばないことがあります。
また、商標法は使用により当該商標に蓄積された信用を保護するものですから、自ら商標を使用していない場合には、登録を取り消されるおそれがあることに注意する必要があります。
Q.指定商品・指定役務を選択する際に気を付けることはなんですか?
指定商品・指定役務を選択する際には、将来のブランド展開も想定した上で、漏れのない選択をすることが大切です。 例えば、「さつまいも」の名前について商標登録を受けようとする場合、その商品が属する第31類の「野菜」を選択するだけでは、決して十分とはいえません。
「干しいも」や「焼きいも」は第29類、「ポテトチップス」やさつまいものペーストを利用した「アイスクリーム」は第30類と、別の分類に属しています。さらに、「芋焼酎」は第33類、さつまいもを原料とした「ジュース」は第32類、さつまいも料理をレストランで提供する場合は第43類の「飲食物の提供」を選択する必要があります。
このように、農作物等は、その加工レベルや提供の方法によって、商標登録を受ける分野が大きく異なります。原材料レベル(例えば「野菜,果物」など)だけの保護に止まらず、半加工品レベル(「カット野菜,ドライフルーツ」など)、さらには最終製品レベル(「菓子,総菜,飲料」など)の保護等も考慮すれば、より広い範囲にわたって商標権の防衛効果を発揮することができます。
これは農作物に限った話ではありません。例えば「浄水器」であれば、業務用と家庭用によってカテゴリーが異なりますし、建築材料等は、金属製か木製か樹脂製か、材質によってカテゴリーが異なります。他には、電動と手動によってカテゴリーが異なることもあります。
商標権の防衛範囲を広げるためには、審査基準の例示に挙げられている商品・サービスがそれぞれどこまでの保護を意味するものか、十分注意した上で、慎重に商品・サービスを選択することが大切です。