2012.05.01
QCサークル活動 事例紹介
(パテントメディア2012年5月発行第94号掲載)
改善推進室 河島和美
昨年の東日本大震災をきっかけに、当所でも自然災害に対するリスク意識が非常に高くなりました。今回は、災害時の対応をテーマに取り組んだ活動事例を3つご紹介します。
<国際管理部 外内グループ> ~災害発生時、外内事務の業務を滞りなく行う体制作り~
このグループは外国のお客様が日本で特許を取得される場合の事務処理全般を担っています。
改善推進室 河島和美
災害により通常業務が遂行できない状況に陥った事態を想定し、災害時にも必要なサービスを維持できるよう対応手順を決め、マニュアル化した活動事例です。
作成した災害時対応マニュアルに則り、メンバーの安否確認を含め、災害時の対応訓練を実施しました。 災害によりサーバーシステムがダウンし、特許庁へオンライン手続ができなくなった場合に備え、手書きの書類で紙手続きができるよう雛形15種類を作成したり、「非常持出し袋」を設置するなどの対策を行いました。
「非常持出し袋」は、普通のボックスファイルですが、中には豪華3点セットが収納されています。
<ボックスファイルの収納物>
- 災害時対応マニュアル
- 紙提出用の庁書類雛形15種類
- 外内出願期限の一覧表(1週間分)
※手続きの期限が1週間以内に迫っている案件の一覧表
勤務中に災害が発生した場合は、このボックスファイルを持って避難することとしました。
今後も、お客様の大切な知的財産を守るため、いかなる時も迅速且つ適切な対応ができるよう努めて参ります。
<経営管理部> ~災害発生時の体制・システム構築~
事務所として、これまで火災を想定した非難訓練は実施してきましたが、地震を想定した避難訓練を行った事がありませんでした。緊急連絡網はありますが、実際に使ったこともありません。
そこで、災害対策本部の組織と役割(係)を明確にすることから始めました。
岐阜オフィスでは、実際に事務所の前にある岐阜公園まで避難しました。
地震を想定した訓練なので、避難する前に部門長が集まり、テレビやラジオで状況を確認しました。
さらに、災害時の行動基準と、災害が起こった際に生き抜くための基礎知識をまとめた「サバイバルカード」を作成しました。財布や定期入れなどに入るよう、折り畳むと名刺サイズになるよう工夫し、水に強く破れにくい紙を使いました。
表面には「自力で生き残らねば、家族の安全確保も事業継続もあり得ない」と激励のキャッチコピーも加えました。
今後は、災害時の事業継続・早期復旧についての対策も検討していきたいと思います。
<システム開発部> ~東京サーバー立上げ手順の確立~
災害によって、岐阜オフィスに設置されているサーバーシステムが破損することを想定しました。
東京オフィスにバックアップ用システムを設置し、緊急時に起動して対処することを検討しました。
「起動って、電源スイッチを押すだけ?」と思われがちですが、蓄積された全てのデータを消すことなく、確実にシステムを起動させるのは、とても困難です。
緊急時のサーバーシステムの仕組みも検討しつつ、システム開発部の全員が操作できることを目標にして取り組みました。
当所が日常利用しているサーバーシステムは11台です。何から始めればいいのかを整理するために、系統図を使って成功シナリオを作成しました。そして、「手順」「仕組み」「経験」「体制」の4つの面から方策を立案して実施しました。
<方策>
- サーバー11台分のバックアップファイルをイメージ化し東京で復元する体制の整備
- 「サーバー運用管理マニュアル」を作成し、岐阜・東京の両拠点に設置
- 災害時に備え、メンバー全員でサーバー切替え訓練を実施
※事務所の稼働日を避けて訓練した後、テスト環境を整えて、稼働日にも訓練を実施
- システム開発部内部での災害時ルールを作成
今回の活動によりシステム開発部の全員が、サーバーシステムを1日以内に起動できるようになりました。緊急時に迅速な対応ができるよう、今後も定期的に訓練を実施していきます。
当所 改善推進室では、企業の改善活動をサポートしています。活動の推進や必要なスキルの養成など、お気軽にご相談ください。