特許調査を担当する弁理士【弁理士インタビュー】 |お知らせ|オンダ国際特許事務所

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特許調査を担当する弁理士【弁理士インタビュー】 

(パテントメディア2014年9月発行第101号掲載)

こんにちは。営業企画部の林と申します。
今号では、弁理士として調査業務を専任している畔上英樹先生を紹介いたします。

林: 畔上先生とは、部署は違っても何かとよく顔を合わせますが、改まってお話を伺う機会はありませんでしたね。私が入所した際にはすでにオンダに在職されていましたが、先生は入所して何年になりますか?
畔上:当社の東京オフィスに勤務し始めて10年が経ちました。
林: 10年ですか。入社してからずっと特許調査をご担当されているんですか?
畔上:はい。特許調査の担当として頑張っています。
林: そうですか。特許文献って記載が独特ですよね。小説を読むのとは全く違う感じだと思いますが…辛くないですか?
畔上:辛いですよ(笑)。
林: やっぱり(笑)。
畔上:でも、特許調査の仕事は、広い技術分野に接することができるので、それ以上に面白味があります。技術の内容も調査の種類も、お客様によって多種多様なので、楽しいですね。
林: そういえば、先生がいらっしゃる知財戦略支援部は特許調査に関するメールマガジンを発信していますよね。
畔上:そうですよ。今は「先行技術調査の検索式」というテーマで配信しています。
林: あえて“先行技術調査の”としていますが、それ以外の調査だと考え方か何かが違ってくるのですか?
畔上:おっ、鋭いですね。違いますよ。まず、先行技術調査では、調査対象の発明について具体的に開示されている文献を探すのが基本です。調査対象になる発明の特許性を確認することが目的ですからね。
林: 特許性の有無を確認するという点では、無効資料調査も同じですか?
畔上:考え方の基本は同じですが、無効資料調査では、さらに設定登録までの経緯や審査時の調査範囲なども検討して調査方針を考える必要があります。
林: 先行技術調査よりもさらに掘り下げた検討が必要になってくるということですね。
畔上:はい。審査官が調査をした結果として新規性・進歩性を認めて特許査定としたものですからね。お客様の期待もありますから、探す側としては必死になるわけです。昼間そのような作業に没頭していると、夢の中でよくドンズバリ!の文献を見つけるんですよね。情報を書き控えようとパッと飛び起きるのですが、夢だったことに気付いたときの落胆具合といったら・・・。
林: 仕事を始める前に、へこみますね(笑)。でも、ポジティブに考えると、無効資料調査って「宝探し」みたいですね。
畔上:そんな感じかもしれません。実際に文献を見つけたときの達成感は大きいですよ!
林: それをお客様に報告するときは嬉しいんじゃないですか?
畔上:そうなんですよね。本当に嬉しいです。逆に先行技術調査の結果でズバリが見つかったときは、なんだか申し訳ない気持ちになります。
林: 特許性を確認するという目的は同じでも、心情的には全く違うんですね。
畔上:先行技術調査は「自社の発明」が調査の対象だし、無効資料調査では、「他社の特許発明」が調査の対象になりますからね。
林: なるほどー。では次に、クリアランス調査ですが、先行技術調査や無効資料調査とは考え方はどのように違うんですか?
畔上:クリアランス調査では、実施技術を上位概念化したような権利がないか慎重に調査する必要があります。特許発明の技術的範囲に属する技術を実施すると権利侵害になってしまうからです。具体的な記載を探そうとする先行技術調査とはまったくアプローチが違います。
林: なるほど。無効資料調査では、絶対に資料を探すって意気込みで調査するという話でしたよね。クリアランス調査では、危ない特許が出てきませんように!って祈りながら調査するんですか?
畔上:(笑)。違いますよ。その逆です。 危険な特許を見つけ出してお客様の実施を阻んでやる!ってくらいの気持ちで調査します。
林: え!?そうなんですか?それってお客様の利益に反するのでは・・・。
畔上:いや。ちょっと言い方がマズかったですね。少しでも関連がありそうな特許については、権利行使側の視点で内容を確認した方が、調査結果の報告としては安全面を重視したものになると思っているんです。そういう意味です。権利侵害にあたってしまうような危険な特許を見逃してしまったら、それこそお客様の利益を害してしまいます。
林: あ、なんだ。安心しました(笑)。一言で特許調査といっても、目的によって検討事項が異なっているのですね。調査の依頼を受ける際には、調査する目的が重要ということですね。
畔上:その通りですね。
林: ところで、畔上先生が調査担当者として弁理士を目指すことにした動機は?
畔上:特許調査というのは、目的によっては調査だけで完結しない場合があるんです。例えば、無効資料調査の場合であれば、特許性の有無に関する鑑定を行ったり、特許無効審判の請求を行うことがあります。クリアランス調査の場合には、侵害鑑定を行うことがあります。このような場合に、お客様から「事前に弁理士に相談して調査して欲しい」、「調査結果を弁理士に伝えて欲しい」などのリクエストをいただくことがあったのです。自分が弁理士になれば一気通貫で対応させていただけると感じたのです。
林: 確かにそうですね。複数人で文献の内容を確認をする工程が省ける分、時間短縮になりますし、コストの削減にもなりますね。
最後に、これからの意気込みをお願いします。
畔上:これまで、ご依頼案件を通じて多くの勉強をさせていただきました。特許調査を10年担当してきましたが、今でも1つ1つの案件の中で気付くことがあります。技術は日々進歩しています。特許調査で使うデータベースもその例外ではありません。これからも日々勉強という精神を大事にしたいです。
また、弁理士としてはスタートラインに立ったばかりですので、今後、鑑定や審判などの経験を重ねて対応の幅を広げていきたいと思っています。また、審査や審判の傾向などを調査方針に反映できるよう努力していきたいと考えています。

畔上英樹先生の紹介でした。
特許調査のご依頼をお待ちしております。