オンダ国際特許事務所の創立50周年に寄せて|お知らせ|オンダ国際特許事務所

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オンダ国際特許事務所の創立50周年に寄せて

(パテントメディア2018年1月発行第111号掲載)
副所長 弁理士 福井宏司

本年、オンダ国際特許事務所は創立50周年を迎えます。これもひとえにお取引先をはじめとするご関係者の皆様のご指導ご支援の賜物と、深く感謝申し上げます。
オンダ国際特許事務所は、恩田博宣会長が創設し、現在、恩田誠所長の指揮の下、国内有数の大規模事務所へと発展しています。私は、このような活気ある特許事務所に所属させていただいていることを誇りとします。
私が入所しましたのは13年前ですが、当所とはそれ以前に多少のご縁があったという経緯から、寄稿文の作成を事務方から依頼されました。そこで、私が入所に至った経緯から今日に至るまでを振り返りながら、当所発展の秘密を考えてみました。今回はその一端に触れてみたいと思います。

着眼点及び発想が素晴らしい会長

恩田会長と最初にお会いしましたのは、25年~26年ぐらい前の、日本特許協会(現一般社団法人日本知的財産協会の前身)の役員経験者の懇親コンペでした。こうなったのは、コンペの世話役をされていた株式会社豊田自動織機・知的財産部長の小林さん(現当所統括理事)が仕事でお付き合いのある恩田会長(当時は所長)にゴルフのエントリーを依頼されたからです。当時はゴルフのエントリーが難しい時代でした。会長は、エントリーを引き受けて下さっただけではなく、手のかかる他人が真似できない素晴らしいサービスをして下さいました。一眼レフカメラを持参され、スタートホールで参加メンバー全員のティーショットのスイングを連続写真に撮り、後日ハンディシングルの腕前の眼から見た的確なアドバイスを付して各人宛にその写真を送って下さいました。これは素人ゴルファーの心を揺り動かすサービスでした。我々は厚かましくも何度かこんな粋な計らいを受けることができました。また、ある時コンペの帰りに事務所に立ち寄らせていただいたことがありました。誰もいない休日の事務所ではありましたが、整然と片づけられた事務所内、ファイルの行方を明示するボードの設置、壁に向かって座るという工夫を凝らした座席の配置など、一見して管理の行き届いた事務所であることを実感させられました。その上、風光明媚な岐阜の名所である岐阜公園の前に自前のビルを構えるという発想に、理想を追い求める会長の姿勢を窺い知ることもできました。こういったことから、日本特許協会のメンバー間でオンダ国際特許事務所の評判が高まったことは事実であり、後々のクライアント開拓にも好影響をもたらしたであろうと推測されます。なお、着眼点の良い素晴らしい発想は、入所後に色々接することができました。「3行革命」(所内俗称)の徹底、「パテントチェッカー」の開発、「電子包袋システム」の開発、等々です。「3行革命」は、簡潔明瞭な明細書の作成を目的として、明細書における一文の長さを4行未満に制限するというものです。「パテントチェッカー」は、手続書類の書誌的事項や明細書特有の用語・符号などをチェックするとともに手続書類の一部を自動的に作成するというものです。「電子包袋システム」は、出願書類を電子データ化して所内随所からの閲覧検索を可能とするものです。これらは全て他事務所に先駆けて行われていました。

タフガイ所長

恩田所長に最初にお会いしましたのも、このような懇親コンペの場でした。恩田所長は、当時既に弁理士資格を取っておられましたので、22~23年ぐらい前ではないでしょうか。そのとき所長とは挨拶を交わした程度でしたが、バイタリティ溢れる好青年という印象が記憶に残っています。その後何年も経た今日、仕事を通して接する頑張り振りには敬服しております。分刻みの仕事の隙間に年に何回かの外国出張を組み入れられ、頼まれた社外研修会の講師は一切断らず、業界団体の役員も積極的に引き受けておられます。そして、外国出張の際には毎回営業のために複数の事務所や会社を訪問され、その都度多大な成果を上げてこられます。また、このような多忙な業務の傍ら体力強化のためマラソンに励まれ、所内にマラソン同好会を立ち上げられました。さらに、時には一流プロ並みのベース奏者としてジャズライブに出演されるなど、多彩な能力を発揮しておられます。このように所長は類稀なタフガイです。グローバル化や産業構造の変革の激しいこれからの時代のリーダとして頼もしい限りです。

懐の深い事務所

私は企業退職後二つの特許事務所で経験を積み、若い弁理士さんに背中を押されるまま共同経営の特許事務所を開業しました。売り上げ及び利益は順調に伸びており、その点での先行きの不安はなかったのですが、事務所としての意思決定の難しさが共同経営の問題であることを痛感させられました。このため将来の破たんを危惧し、この特許事務所の共同経営に早々に見切りを付け、パートナーの同意を得て解散を決意しました。そのころ、当所に大阪オフィス立ち上げの構想があることを耳にし、小林理事を介しその機会に私の特許事務所で取り扱っていた一部の仕事の移管と所員弁理士の移籍をお願いしましたところ、全く急な話でありながら即これを引き受けていただくことができました。そして、私もその際に入所させていただきました。お陰様でお客様や所員弁理士に大きなご迷惑をお掛けすることもなく、ピンチを脱することができました。会長および所長が責任者であるオンダ国際特許事務所は、懐が深いと実感した次第です。

当所の基本的な強みは組織力

オンダ国際特許事務所の入所に際しての面接のときに、所長から「カルチャーの相違は大丈夫ですか」という質問がありました。そのときは大丈夫ですと即答しましたが、入所と同時にこれまでの事務所とは何もかも大きく異なることに戸惑いを隠しえませんでした。入所間もない頃、ある会合でお会いした大手顧客の知的財産部長さんは、私が新人であることを知り「オンダ国際特許事務所は普通の特許事務所ではありません。普通の会社のように組織がしっかりしている。そこが最大の魅力です。」と評されていました。このご発言により、弁理士個々の力により顧客を引き付ける通常の特許事務所とは異なり、当所は組織力が買われていることに気付かされました。当所の組織力は、大規模事務所の運営には組織力を欠かすことができないという、会長及び所長お二人の信念に基づき培われたものであることを後日理解しました。
このように、お二人はこうと決めたら何があっても実行するという性格の持ち主です。
分かり易い一例は毎週月曜日の全オフィスに向けての朝礼です。朝礼は会長及び所長の訓話が中心ですが、私の知る限り予定していた朝礼を取り止めるということは一度もありません。会長や所長が海外出張されているときは、総務部長の代読により行われます。朝礼における訓話は、遅くともその日の午前中には所内イントラネットに掲載されます。
また、初めて当所を訪れたお客様は、所員全員が起立して「いらっしゃいませ」を唱和する光景に接し、皆様一様に感動して帰られます。これを徹底させるところにも、リーダの強い意志の片鱗が窺われます。
他にも例は沢山あります。QCサークル活動の長年にわたる実施、種々のミス防止活動の展開、クレーム検討会の実施、等々です。中でも、ミス防止活動には大変力を入れており、「1件入魂」の精神でミス防止を行うべく種々の方策が実行されております。明細書の記載における誤記、納期遅れ、お客様との連絡不十分による不都合の発生などの何らかのミスを犯した場合は、直ちに会長・所長に報告し、その是正策を検討することになっています。その内容は不適合品発生報告書として所内に周知させるという不適合報告制度は、その代表例です。
このような地道な活動を行うことが、当所発展の原動力と言えるでしょう。
その成果として、当所に対し「事務管理がしっかりしている」、「顧客に対するサービスが行き届いている」、「所員教育が素晴らしい」などの高評価をいただくまでになっています。
一旦これが良いと決めたら、これを徹底して継続するというリーダの強い意志によりコントロールされる組織力こそが、当所の基本的な強みであると思われます。

今後の発展に向けて

第4次産業革命を迎え「10年後には世界の産業地図が大きく変わる」、「30年後には人間を超えるコンピュータが生まれる」などと言われますように、今後は劇的な変化が予測されます。しかし、このような状況下においても技術の重要性は増し、知的財産の重要性がより一層増すと考えられます。
これを反映し企業の知的財産部門は多忙を極める一方です。しかし、企業から特許事務所に外注される業務はそれほど増加していません。一方、国内特許出願件数は2001年をピークに大幅に減少し、弁理士業界の市場規模は近年概ね停滞している状態です。他方、弁理士数は、小泉内閣の規制緩和により試験合格者が大幅に増加された結果、右肩上がりに増加しています。このため弁理士業界は競争激化の一途です。これらの状況から現在は特に大規模事務所にとって試練の時期であると考えられがちです。ところが必ずしもそうとは言えないようです。インターネットに公表されている2017年1月~10月の特許事務所別国内公開件数データを見ますと、ランキングベストテンに入っている大規模事務所は、軒並に対前年比公開件数を大幅に伸ばしています。これは、技術の急速な進歩、知的財産業務のグローバル化、知的財産保護制度の頻繁な改正などの環境変化への対応力を備えた大規模事務所への依存度が高まったからではないかと考えられます。いわば大規模事務所にとっての追い風とも言えるでしょう。しかしながら、各大規模事務所は想像以上の伸びを示していますので、ライバルとしての手強さも感じずにはおられません。
今後の大きな変革への備えとしては、まずこの追い風の恩恵にあずかりながらより強固な基盤作りを行うことこそ肝要であると考えられます。そのためには多くの優秀な人材の確保と、プロフェッショナルとしての実務スキルを備えた人材の育成に努めなければなりません。当所では、資質の優れた人材の採用に注力するとともに、組織力を生かしたOJT、判例研究会、QCサークル活動としての勉強会、情報交換システムなどの様々な人材育成策を行っています。このような地道な努力を継続していくことにより、当所の未来はより大きく発展するものと確信しています。
この節目の年に当たり、私ども所員一同は、恩田所長の指揮の下、目標とする世界一信頼性の高い特許事務所を目指して頑張る所存です。