商標審決レポート(Nepal Tiger)|知財レポート/判例研究|弁理士法人オンダ国際特許事務所

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商標審決レポート(Nepal Tiger)

一般的な単語と国名とを組み合わせた出願商標の登録を知財高裁が認めた事案

2024年9月27日
弁理士 佐久間勝久

事件番号

令和5年(行ケ)第10115号 (不服2022-13795号事件(商願2021-102626))

事案の概要

商標法第3条第1項第3号及び第4条第1号第16号に該当するとして審査官は出願商標の登録を拒絶するとともに、拒絶査定不服審判でも当該審査官の判断を正しいと認定しました。
しかしながら、審決取消訴訟にて審判官の認定を知財高裁は誤りと判断しました。

– 商標法第3条第1号第3号
『(自己の業務に係る)商品の産地、販売地、品質、原材料、効能、用途、数量、形状(包装の形状を含む。)、価格若しくは生産若しくは使用の方法若しくは時期又はその役務の提供の場所、質、提供の用に供する物、効能、用途、数量、態様、価格若しくは提供の方法若しくは時期を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標』については、商標登録を受けることができない。

– 商標法第4条第1号第16号
『商品の品質又は役務の質の誤認を生ずるおそれがある商標』については、商標登録を受けることができない。

判決日

令和6年4月11日

商標

(商願2021-102626)

Nepal Tiger(標準文字)

指定商品

第27類 じゅうたん,敷物,マット,ラグ,ヨガ用マット,織物製壁紙,壁掛け(織物製のものを除く。)

判決の概要

本願商標の取引者はじゅうたん等の製造販売業者であり、需要者は一般の消費者である。
本願商標のうち「Nepal」の部分は国家を示す語であるとともに、「Tiger」は「トラ」を意味する語である。しかし、各種情報(例えば、新聞記事、書籍及びウェブサイト)には、本願の指定商品に関連して「Nepal Tiger」なる一連の語句を使用した取引の実情はない。
そのため、「Nepal Tiger」を一種の造語であるとみるべきである。それゆえに、本願商標の取引者及び需要者は、「Nepal Tiger」について、指定商品に係る商品の産地、販売地又は品質を表示したものであると直ちに認識しない。そして、本願商標を例えば「ネパール製のトラ形状をしたじゅうたん」以外のじゅうたんに使用した場合であっても、需要者等が商品の品質の誤認するおそれありとは言えない。
したがって、本願商標は商標法第3条第1号第3号にも商標法第4条第1号第16号にも該当しない。

コメント

一般的な単語と国名を示す文言との組み合わせ商標を一般消費者が需要者となる指定商品(役務)について出願した場合であっても、取引の実情に鑑みて、商標全体が商品(役務)の品質等を表示するのではなく、かつ商品の品質又は役務の質の誤認を生ずるおそれはないとして、特許庁は商標登録を認める場合があります。

※先月の「造語と国名とを組み合わせた出願商標の登録を知財高裁が認めなかった事案」と結論が異なります。
https://www.ondatechno.com/jp/report/trademark/shin/p6861/