商標審決レポート(hololive Indonesia)|知財レポート/判例研究|弁理士法人オンダ国際特許事務所

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商標審決レポート(hololive Indonesia)

造語と国名とを組み合わせた出願商標の登録を知財高裁が認めなかった事案

2024年8月28日
弁理士 佐久間勝久

事件番号

令和5年(行ケ)第10131号 (不服2022-15450号事件(商願2021-159976))

事案の概要

商標法第4条第1号第16号に該当するとして審査官は出願商標の登録を拒絶するとともに、拒絶査定不服審判でも当該審査官の判断を正しいと認定しました。
審決取消訴訟にて、審判官の認定を知財高裁は正しいと判断しました。

– 商標法第4条第1号第16号
『商品の品質又は役務の質の誤認を生ずるおそれがある商標』については、商標登録を受けることができない。

判決日

令和6年3月27日

商標

(商願2021-159976)

hololive Indonesia(標準文字)

指定商品

第03類 化粧品、香料
第09類 電子計算機用プログラム、眼鏡、電子出版物、等
第14類 貴金属、身飾品,時計等
第16類 文房具類,印刷物,写真,写真立て
第18類 かばん類,袋物,傘
第21類 清掃用具及び洗濯用具、等
第24類 布製身の回り品、等
第25類 被服,履物,仮装用衣服
第26類 頭飾品
第35類 広告業、被服の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供、等
第41類 電子出版物の提供、インターネットを利用して行う映像の提供,等
第43類 飲食物の提供

判決の概要

本願商標のうち「hololive」の部分は造語であるため識別力を有するとともに、「Indonesia」の部分は、インドネシア共和国であることを需要者は容易に理解する。
識別力を有する文字(造語)と、「インドネシア」あるいは「Indonesia」の文字とを組み合わせたものがインドネシア製の商品等に使用されている。
一般消費者が需要者となる指定商品(役務)に対応する商品(役務)は、インドネシア製の商品等として日本で取引されている。
本願の指定商品等に含まれるそのようなインドネシア製の商品等の日本の需要者は、一般消費者である。
そのため、本願商標に接する一般消費者は、「Indonesia」の文字から、インドネシア製の商品の品質等を想起するといえる。
しかしながら、本願の指定商品(役務)は、インドネシア製に限定されていない。そのため、インドネシアで製ではない商品等を含むことになる。
以上より、商品の品質又は役務の質の誤認を生ずるおそれがある本願商標は、商標法第4条第1号第16号に該当するというべきである。

コメント

このような日本の知的財産高等裁判所の判決に鑑みて、識別力のある文言(造語)と国名を示す文言との組み合わせ商標を一般消費者が需要者となる指定商品(役務)について出願した場合は、商品の品質又は役務の質の誤認を生ずるおそれがあるとして、特許庁が商標登録を認める可能性は低いと思われます。