商標審決レポート(MONO)|知財レポート/判例研究|弁理士法人オンダ国際特許事務所

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商標審決レポート(MONO)

引用商標「MONO」(標準文字)と類似するとして、出願商標商標審決レポート(MONO) | 2024年の登録を拒絶すべきとされた事案

2024年7月31日
弁理士 佐久間勝久

 

審判番号

不服2023-6307(商願2021-119641)

事案の概要

・引用商標「MONO」(標準文字)と出願商標 商標審決レポート(MONO) | 2024年 とは類似する
・引用商標の指定商品が、出願商標の小売等役務と類似する

との認定に基づいて、審査官は出願商標の登録を拒絶しました。
拒絶査定不服審判にて、審査官の認定を審判官は覆して、引用商標と出願商標とは非類似と判断しました。

審決日

2023年11月1日

商標

(商願2021-119641)
商標審決レポート(MONO) | 2024年
(引例:登録4533103)
MONO(標準文字)

指定商品

(商願2021-119641:補正後)
第35類 台所用品・清掃用具及び洗濯用具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供、等

(引例:登録4533103)
第16類 家庭用食品包装フィルム,紙製ごみ収集用袋、等

審決の概要

(1) 本願商標について

本願商標の「構成文字は、文字の大きさを異にするものの、横一列に、まとまりのよい構成で配置されており、「モノプラス」と発音できる一連一体の語である」と把握可能である。そのため、「いずれかの文字部分が強く支配的な印象を与えるものではない」と判断する。
また、「「MONO」の文字は「モノラル」の意味を有する英語」であり、かつ「「+」の文字は「利点。プラスの。」の意味を有する「plus」の記号表記」であるものの、「両語を結合して成語となるものではなく、各語の語義を結合した意味合いも漠然としている」と判断する。
以上より、「本願商標は、その構成文字に相応して、「モノプラス」の称呼を生じるが、特定の観念は生じない」と言える。

(2) 引用商標について

引用商標は、「「MONO」の文字を標準文字で表してなる」ものの、日本で一般的に知られた外来語ではない。
そのため、「引用商標は、その構成文字に相応して、「モノ」の称呼を生じるが、特定の観念は生じない」と言える。

(3) 本願商標と引用商標との比較

・外観について
「+」の有無があるため、互いの判別は可能である。

・称呼について
「+」から生じる音の違いによって、全体として判断すると、互いの聴別は可能である。

・観念について
共に特定の観念を生じさせないため、互いの比較不可能である。

したがって、指定商品役務の類似度がどうであれ互いを混同する可能性はないため、本願商標と引用商標とは非類似と判断する。
「以上のとおり、本願商標は、引用商標とは同一又は類似する商標ではないから、その指定商品及び指定役務を比較するまでもなく、商標法第4条第1項第11号に該当しない。」
「したがって、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、取消しを免れない。」

コメント

本願商標の一部である「+」は、その他の部分よりもかなり小さく(25%程度)となっています。そのため、本願商標の要部を「MONO」と判断可能です。そうすると、審査官の判断の通り、本願商標と引用商標とは類似すると判断可能です。しかし、審判官は本願商標の要部を「MONO」と判断しませんでした。

今後も今般の審決に沿った判断が示されるかを注視する必要があると考えます。