出願商標には識別力があるとして、登録すべきとされた事案
2024年6月25日
弁理士 佐久間勝久
審判番号 |
不服2022-21178(商願2020-161762)
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事案の概要 |
- 出願商標は、英文字を普通に用いられる方法である筆記体で横書きしたものである
- 当該英文字は色名を表す英語として一般に認識されている
- 各種商品の色彩表示として当該色名が普通に使用されている
との認定に基づいて、出願商標に識別力なしとして審査官は登録を拒絶しました。
拒絶査定不服審判にて、審査官の認定を審判官は覆して、識別力ありと判断しました。 |
審決日 |
2023年10月24日
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商標 |
(商願2020-161762)
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指定商品(補正後)
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(商願2020-161762)
第03類 化粧品等
第09類 保安用ヘルメット等
第18類 ハンドバック等
第21類 コップ等
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審決の概要 |
本願商標は、「全体として特徴的な書体」からなるものである。
そのため、普通に用いられる方法で記載されていない、すなわち、「自他商品の出所識別標識としての印象を与える特徴を備えている」というべきである。
それゆえに、本願商標は、「商品の品質等を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標とはいえず、自他商品を識別する機能を果たし得るものである」。
「したがって、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、取消しを免れない。」
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コメント |
筆記体の英文字マークのデザイン度が高い場合、すなわち、マークの構成要素を英文字と判断し難い場合は、そのようなマークは一種の図形と判断される可能性が高くなります。
しかし、近頃の特許庁の識別力に対する審査官の判断は厳しくなったと思われます。
そのため、識別力のない英文字列を筆記体で記載して出願すると、審判官は識別力を認めるものの、審査官は識別力を認めない場合が多くなるように思われます。
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