商標審決レポート(SAKE TEA)|知財レポート/判例研究|弁理士法人オンダ国際特許事務所

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商標審決レポート(SAKE TEA)

「SAKE TEA」は、商品の品質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標であり、「日本酒と茶を合わせた商品」若しくは「日本酒と紅茶を合わせた商品」以外の商品に使用するときは商品の品質の誤認を生ずるおそれがあり、使用による識別力も獲得していないから、登録することができないとされた事案

2024年5月30日
弁理士 八代則子

審判番号

不服2023-001794 (商願2021-161331)

審決/判決 審決
審決日 2024年5月9日
出願人

LUDENS株式会社

商標

SAKE TEA(標準文字)

指定商品・役務

第33類 茶を含む中国酒,茶を含む洋酒,茶を含む果実酒,茶を含む酎ハイ,茶を含む清酒,茶を含む焼酎,茶を含む合成清酒,茶を含む白酒,茶を含む直し酒,酒と茶を含むみりん,茶を含む薬味酒

審決の内容

(1)商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号該当性について

本願商標は、「SAKE TEA」の文字を標準文字で表してなるところ、当該文字は「SAKE」の文字と「TEA」の文字を一連に表したものと容易に看取される。

そして、その構成中、「SAKE」の文字は「1 原因、理由、利益、2 日本酒、清酒」、「1 動機、ため、利益、2 日本酒語源」の意味を有する語であり、「TEA」の文字は「(乾燥・加工した)茶の葉。Green(black) tea 緑茶(紅茶)。」、「紅茶。(一般に飲料用の)お茶。(紅)茶の葉。」の意味を有する語として知られている。

ところで、本願の指定商品との関係において、飲料を取り扱う分野では、日本酒とその他の素材を合わせた飲料が「SAKE○○」(○○は、その他の素材)のように指称されている事実がうかがえ、また、日本酒と茶若しくは紅茶を合わせた飲料が「SAKE TEA」のように指称されている事実も少なからず存在している。

そうすると、本願商標をその指定商品に使用したときには、これに接する取引者、需要者は、本願商標の構成中の「SAKE」の文字から「日本酒」の意味合いを認識し得るというのが自然であり、その構成文字全体からは「日本酒と茶を合わせた商品」若しくは「日本酒と紅茶を合わせた商品」という商品の品質を認識、理解するというのが相当である。したがって、本願商標は、商品の品質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標であるから、商標法第3条第1項第3号に該当し、「日本酒と茶を合わせた商品」若しくは「日本酒と紅茶を合わせた商品」以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生ずるおそれがあるから、同法第4条第1項第16号に該当する。

(2)商標法第3条第2項の要件を具備するか否かについて

請求人は、「本願商標が、商標法第3条第1項第3号の拒絶理由に該当するとしても、出願人が本願商標を指定商品に使用し続けた結果、需要者が商標「SAKE TEA」を見たときには、その商品が出願人の業務に係る商品であることを認識することができるものになっているため、商標法第3条第2項の規定により例外的に登録されるべきものである。」旨主張する。しかしながら、出願に係る商標が、商標法第3条第2項の要件を具備し、登録が認められるかどうかは、使用に係る商標、商標の使用開始時期、使用期間及び使用地域、当該商品の取引実績等並びに広告宣伝の方法及び回数等を総合考慮して、出願に係る商標が使用をされた結果、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができるものと認められるかどうかによって決すべきものであるところ、提出された資料は、Google検索において、「SAKE TEA」の文字を検索した際に、請求人関連のウェブページが上位に表示されているとするもののみであり、本願商標を付した商品の販売数量、売上高及び市場シェア並びに広告宣伝等はいずれも確認することができないから、本願商標が指定商品に使用された結果、これに接する需要者に、請求人の取り扱いに係る商品であることを認識されるに至ったものであるということはできない。したがって、本願商標は、商標法第3条第2項の要件を具備するものとはいえない。 

(3)まとめ

以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当し、同法第3条第2項の要件を具備するものではないから、登録することができない。

コメント

出願人は、本願商標「SAKE TEA」は、あくまでも「SAKE」と「TEA」とを連結した特定の具体的観念を生じさせない造語商標であり、その文字から「日本酒・清酒と茶をブレンドした商品」という商品を直ちに表示する言葉ということにはならない、等の反論を行っている。