(1)本願商標について
本願商標は、「KGC」の欧文字を標準文字で表してなるところ、その構成文字に相応して「ケージーシー」の称呼を生ずるものであり、これは、辞書等に載録されている語ではなく、特定の意味合いをもって親しまれている語ともいい難いから、造語として看取されるものである。
したがって、本願商標は、「ケージーシー」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。
(2)引用商標について
引用商標は、「KCC」の欧文字を普通に用いられる方法で横書きしてなるところ、その構成文字に相応して「ケーシーシー」の称呼を生ずるものであり、これは辞書等に載録されている語ではなく、特定の意味合いをもって親しまれている語ともいい難いから、造語として看取されるものである。
したがって、引用商標は、「ケーシーシー」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。
(3)本願商標と引用商標の類否について
本願商標は、「KGC」の文字を表してなるのに対し、引用商標は、「KCC」の文字を表してなるところ、共に3文字という短い文字構成において、第2文字目における「G」と「C」の明確な差異を有することから、両者は外観上相紛れるおそれはないというべきである。
また、本願商標より生ずる「ケージーシー」の称呼と、引用商標より生ずる「ケーシーシー」の称呼を比較するに、両者は共に6音よりなり、中間の「ジー」と「シー」の音に差異を有するものである。
そして、これらの差異音は、母音を共通にするものであるとしても、「シー」の音は澄んだ音として聴取される清音であるのに対し、「ジー」の音は重く響く濁音であり、その音質において明らかに相違するものである。
また、本願商標と引用商標のように、アルファベットの3文字を配列してなる商標は、一気一連に発音されるというよりも、1文字1文字を区切って発音される場合が多いことから、発音上のかかる事情と上記の音質の差異とを考え併せれば、該差異音の称呼全体への影響は決して小さいものとはいえず、両商標より生ずる称呼をそれぞれ一連に称呼するときは、全体の語調語感が異なり、称呼上相紛れることなく、十分区別し得るというのが相当である。
さらに、両商標は、いずれも特定の観念を生ずることのない造語であるから、観念において比較することはできない。
そうすると、本願商標と引用商標とは、観念において比較できないとしても、外観及び称呼において相紛れるおそれはないから、これらを総合して全体的に考察すると、両者は非類似の商標というべきである。
(4)まとめ
以上のとおり、本願商標は、引用商標と類似する商標ではないから、その指定役務について比較するまでもなく、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
したがって、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとした原査定は、取り消しを免れない。
その他、本願について拒絶の理由を発見しない。
|