商標審決レポート(二刀流)|知財レポート/判例研究|弁理士法人オンダ国際特許事務所

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商標審決レポート(二刀流)

「二刀流」の文字からなる商標が第3類「歯磨き等」第21類「デンタルフロス等」との関係で商品の品質や効能を表示するとはいえないと判断された事案

2023年8月29日
弁理士 木村達矢

審判番号

不服2022-14074(商願2021-120080)

事案の概要

「二刀流」の文字からなる商標が第3類「歯磨き等」第21類「デンタルフロス等」との関係で商品の品質や効能を表示するとはいえないと判断された事案

審決/判決 審決
審決日 2023年5月29日
請求人

小林製薬株式会社

商標

二刀流
(標準文字)

指定商品

第3類「家庭用帯電防止剤,家庭用脱脂剤,さび除去剤,染み抜きベンジン,洗濯用柔軟剤,洗濯用漂白剤,かつら装着用接着剤,洗濯用でん粉のり,洗濯用ふのり,つけまつ毛用接着剤,塗料用剥離剤,靴クリーム,靴墨,つや出し剤,せっけん類,歯磨き,化粧品,香料,薫料」第21類「デンタルフロス,湯かき棒,浴室用腰掛け,浴室用手おけ,化学物質を充てんした保温保冷具」

審決の内容

本願商標は、「二刀流」の文字を標準文字で表してなるところ、該文字は、「(1)剣術で、左右の手に一本ずつの刀を握って戦う刃法。宮本武蔵の二天一流が有名。(2)酒も飲むし、甘い物も食べること。(3)野球で、投手と野手と両方で出場すること。」(「大辞林 第四版」株式会社三省堂)の意味を有する語であるものの、本願の指定商品との関係においては、商品の具体的な品質や効能等を直接表示するものではない。

そして、本願の指定商品を取り扱う業界において、商品の紹介文や説明文の中で、「二刀流」の文字が使用されていることは確認できるものの、これらの記載例においては、他の語や記述を伴って使用されることにより、商品の具体的な品質や効能等を表示しているといえることから、「二刀流」の文字が単独で商品の具体的な品質や効能等を表示するとはいい難いものである。

そうすると、本願商標は、その指定商品との関係において、商品の品質や効能等を表示するものとはいえず、かつ、商品の品質について誤認を生ずるおそれがあるものということもできない。

コメント

大谷翔平選手の活躍に伴って、「二刀流」の文字が、各種商品について、「二つの効能を有すること」及び「二つの機能を有すること」を指称するものとして、使用されている例が多数見受けられるが、単独で商品の具体的な品質や効能等を表示するとはいい難いものであると判断された。