商標審決レポート(FINE BLACK)|知財レポート/判例研究|弁理士法人オンダ国際特許事務所

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商標審決レポート(FINE BLACK)

商標「FINE BLACK」(指定商品「鉄及び鋼,等」)が登録すべきとされた事案

2023年1月30日
弁理士 八代則子

審判番号

不服2021-009181 (商願2020-063716)

事案の概要

商標「FINE BLACK」は商品の品質(色彩)を表示するものということはできず、かつ、商品の品質について誤認を生ずるおそれがあるものということもできないとして登録すべきとされた事案

審決/判決 審決
審決日 2022年11月01日
出願人

日本金属株式会社

商標

FINE BLACK (標準文字)

指定商品・役務

第6類 鉄及び鋼,帯鉄,帯鋼,圧延鋼材,鉄鋼二次製品,金属製管,金属の薄板及び厚板,鋼板,鋼管

審決の内容

本願商標は、「FINE BLACK」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成文字は、同じ大きさ及び同じ書体で、まとまりよく表してなるものである。また、本願商標の構成中、「FINE」の文字は「美しく立派なさま。微細で精巧なさま」の意味を、「BLACK」の文字は「黒いさま。黒色」等の意味を、それぞれ有するものである。

そして、「FINE BLACK」に通じる「ファインブラック」の文字が、本願の指定商品を取り扱う業界において、商品の品質(色彩)の一を表すものとして使用されている例が見受けられるものの、その数はわずかであり、また、「ファインブラック」の文字に係る色彩は、例えば日本産業規格(以下「JIS」という。)の慣用色名には掲載されておらず、JISで規定する「黒(くろ)」の色彩に比して、どのような色彩なのかは判然としない。

このような使用状況からすると、「FINE BLACK」又は「ファインブラック」の文字は、本願の指定商品の取引者、需要者の間において、具体的な色彩を表すものとして親しまれたものとはいい難く、かつ、「FINE BLACK」又は「ファインブラック」の文字は、一般の国語辞典や上述のJISの慣用色名に掲載されていないことも加味すると、本願商標に接した取引者、需要者をして、直ちに特定の商品の品質(色彩)を想起させるとはいい難い。

さらに、当審における職権調査によっても、本願の指定商品を取り扱う業界において、「FINE BLACK」又は「ファインブラック」の文字が、商品の品質(色彩)を直接的、かつ、具体的に表示するものとして、取引上一般に使用されている事実は発見できず、さらに、本願商標に接する取引者、需要者が、当該文字を商品の品質(色彩)等を表示したものと認識するというべき事情も発見できなかった。

そうすると、本願商標は、これをその指定商品について使用しても、商品の品質(色彩)を表示するものいうことはできず、かつ、商品の品質について誤認を生ずるおそれがあるものということもできない。

したがって、本願商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、取消しを免れない。

その他、本願について拒絶の理由を発見しない。

コメント

出願人は「本願商標は全体として一種の造語と認識されるものであり、本願指定商品との関係において、商品の色彩の表示として本願指定商品の取引者又は需要者に理解されるものではないから、商標としての識別力を本質的に具備するものである。」等の反論を行い、登録が認められた。