商標審決レポート(シルバーウインチ)|知財レポート/判例研究|弁理士法人オンダ国際特許事務所

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商標審決レポート(シルバーウインチ)

商標「シルバーウインチ」(指定商品「ウインチ,巻上機,荷役機械器具」)が登録を認められた事案

2022年12月14日
弁理士 西澤奈央子

審判番号

不服2021-15044(商願2019-74484)

事案の概要

本願商標「シルバーウインチ」(日本語のカタカナ書)は、指定商品である「ウインチ,巻上機,荷役機械器具」の品質等を直接的に表示したとはいえない、すなわち識別力があり、さらに、本願商標は指定商品の品質等の誤認を生じさせないと判断された。

そのため、特許庁が本願商標の登録を認めた。

審決/判決 審決
審決日 2022年6月15日
請求人

株式会社富士製作所

商標

シルバーウインチ

指定商品

第7類「ウインチ,巻上機,荷役機械器具」

審決の内容

本願商標は、「シルバーウインチ」なる日本語のカタカナ文字を一般的な書体で横書きしたものである。そのため、本願商標は全体としてまとまりのよい一体のものとして需要者は認識し得る。

また、辞書には、本願商標の構成要素である「シルバー」は、「銀。」、「銀色。」、「高齢者の。」の複数の意味を有すると解説されている。さらには、「ゴールド」、「ブロンズ」等と同様に、「シルバー」は、製品の格付けのための等級やランクの表示でもある。

本願商標の構成要素である「ウインチ」は、指定商品の「巻揚げ機」を示す。しかしながら、「シルバー」と「ウインチ」を結合してなる「シルバーウインチ」は、指定商品との関係において、「銀製のウインチ」、「銀色のウインチ」、「高齢者向けのウインチ」、「等級がシルバークラスのウインチ」等の複数の意味を需要者は認識する。そのため、需要者は一種の造語として出願商標を認識するといえる。

そして、指定商品を取り扱う業界において、本願商標(類似する文字を含む)が、商品の品質等を表示するものとして一般に用いられている事実はない。さらに、需要者が、本願商標(類似する文字を含む)を指定商品の品質等の表示であると認識する特段の事情もない。

そうすると、本願商標は、識別力があるといえる。さらには、本願商標は指定商品の品質等の誤認を生じさせるおそれもないといえる。

したがって、本願商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、取消しを免れない。

コメント

色彩を表す語と指定商品を表す語とからなる結合商標を出願した場合は、審査官は識別力なしと判断するのが原則です。

しかしながら、色彩を表す語が色彩以外の意味も有する場合に、そのような結合商標は全体として一種の造語であり、識別力があると特許庁は判断しました。

色彩を表す語と指定商品を表す語との結合商標を出願する際に、上述の特許庁の判断が参考になります。