商標審決レポート(THE TONKATSU)
商標「THE TONKATSU」(指定商品「トンカツ用のバッターミックス」)が登録すべきとされた事案
2022年8月31日
弁理士 八代則子
審判番号 |
不服2021-013544 (商願2020-008193) |
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事案の概要 | 商標「THE TONKATSU」は、指定商品「トンカツ用のバッターミックス」について使用しても、商品の品質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなるものということはできず、自他商品の識別標識としての機能を果たし得るものというべきであり、かつ、商品の品質の誤認を生じるおそれがあるものということもできないとして登録すべきとされた事案 |
審決/判決 | 審決 |
審決日 | 2022年7月19日 |
出願人 |
株式会社日清製粉グループ本社 |
商標 |
THE TONKATSU (標準文字) |
指定商品・役務 |
第30類 トンカツ用のバッターミックス |
審決の内容 |
本願商標は、「THE TONKATSU」の文字を標準文字で表してなるものである。そして、本願商標の構成中、「THE」の文字は、英語の定冠詞として知られている平易な単語で、「その、例の、問題の」等の意味を表す語であり、「TONKATSU」の文字は、「豚肉のカツレツ」を意味する「豚カツ」を欧文字表記したものと理解できるものであることから、本願商標全体からは、「その豚カツ」程の意味合いを認識させるもので、補正後の本願指定商品(トンカツ用のバッターミックス)との関係においては、その商品の品質又は用途を直接的かつ具体的に表示するにすぎないものとはいいがたい。 また、当審において職権をもって調査するも、補正後の指定商品を取り扱う業界において、本願商標を構成する文字が、商品の品質又は用途を表すものとして一般に使用されている事実は確認できず、さらに、当該指定商品の取引者、需要者が、該文字を商品の品質又は用途を表示するものと認識するというべき事情も発見できなかった。 してみれば、本願商標は、これをその補正後の指定商品について使用しても、商品の品質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなるものということはできず、自他商品の識別標識としての機能を果たし得るものというべきであり、かつ、商品の品質の誤認を生じるおそれがあるものということもできない。 したがって、本願商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、取消しを免れない。 その他、本願について拒絶の理由を発見しない。 |
コメント |
出願人は、商品の品質について誤認を生じさせるおそれがあるとの拒絶理由を解消するため、指定商品を「小麦粉,食用粉類,バッターミックス」から「トンカツ用のバッターミックス」に限定している。 |