商標審決レポート(LA LA LAND)|知財レポート/判例研究|弁理士法人オンダ国際特許事務所

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商標審決レポート(LA LA LAND)

2022年3月3日
弁理士 木村達矢

審判番号 不服2020-17242(商願2019-91271号)
事案の概要 「LA LA LAND」の文字からなる商標は、これを被服等に使用しても、その商品が引用映画製作会社又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、その商品の出所について混同を生ずるおそれはないと判断された事案。
審決/判決 審決
審決日 2021年8月30日
請求人 ツナミキャピタルグループ インク
商標

「LA LA LAND」(標準文字)

指定商品

第25類「被服,履物,運動用特殊衣服等」

審決の内容
商標法第4条第1項第15号該当性について

(1)本願商標について

本願商標は、「LA LA LAND」の文字を標準文字で表してなるところ、当該文字は、「夢の国」、「ロサンゼルス」の意味を有する英語である。

(2)引用標章の著名性について

「LA LA LAND」の文字からなる引用標章は、2016年(平成28年)に米国で公開、我が国では、平成29年に公開され、第89回アカデミー賞(米国)において13部門でノミネートを受け、6部門を受賞したミュージカル映画のタイトルであること、当該映画を内容とするDVD等が販売されていることは認められるものの、当該映画がシリーズ化されて長年親しまれているというような実情はなく、引用標章の使用期間や引用標章が、どのような商品・役務について、どのように使用されているのかというような、具体的な引用標章の使用状況を確認することもできない。

そうすると、引用標章は、米国のミュージカル映画のタイトルとして一定程度知られているとしても、引用映画製作会社の業務に係る商品又は役務を表示するものとして、我が国における取引者、需要者の間に広く認識されていたものと認めることはできない。

(3)商標法第4条第1項第15号の該当性について

本願商標と引用標章とは、類似性の程度は高いといえるものの、引用標章を構成する文字は、独創性が高いものとはいえず、引用標章は、引用映画製作会社の業務に係る商品又は役務を表示するものとして、広く認識されているということはできないものというのが相当である。

してみれば、本願商標は、これをその指定商品に使用しても、取引者、需要者をして引用標章を連想又は想起させることはなく、その商品が引用映画製作会社又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、その商品の出所について混同を生ずるおそれはないものというべきである。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。

コメント

周知な映画の題号は、「映画フィルム」「ダウンロード可能な映画」「映画の提供」等との関係では、商品等の内容・品質等を認識させるにすぎないとして識別力が否定されるが、他の商品等との関係では、識別力を有する。そして、周知な題号が、商品等の出所識別標識としても使用されている場合には、周知の程度や商品等の関連性によっては、他人の業務と混同を生ずるおそれがあるとして4条1項15号により拒絶され得る。

もっとも、本件では、被服等との関係では引用映画製作会社の業務に係る商品又は役務を表示するものとして、広く認識されているということはできないとして商品の出所について混同を生ずるおそれはないと判断された。

なお、本願出願人は、更新されず失効した商標登録第5243229号「LA LA LAND」のライセンス管理をしていたようである。