商標審決レポート(NIPPON語学院)
本願商標「」と引用商標「」とは類似する商標ではないとして登録すべきとされた事案
2021年12月16日
弁理士 八代則子
審判番号 | 不服2021-004997 (商願2019-127528) |
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事案の概要 | 本願商標「」と引用商標「」とは類似する商標ではないとして登録すべきとされた事案 |
審決/判決 | 審決 |
審決日 | 2021年11月11日 |
出願人 |
学校法人NIPPON ACADEMY |
商標 |
本願商標 引用商標 |
指定役務 |
第41類 技芸・スポーツ又は知識の教授,その他 |
審決の内容 |
本願商標は、赤い円状図形の一部を切り取ったような図形を配し(以下「図形部分」という。)、その右側の上段に「NIPPON語学院」の黒文字を顕著に横書きし(以下「上段文字部分」という。)、その下段にごく小さく「NILA.NIPPON LANGUAGE ACADEMY」の黒文字を配した、図形と文字との結合商標である。 そして、本願商標の構成中、図形部分と文字部分は、いずれも重なること無く間隔を空けて配置されている上に、観念的な関連性も見いだすことはできないものであるから、取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものではない。 また、図形部分は、赤い円状図形の一部を切り取ったような図形であるところ、これは、独創性が高いとまではいい難く、それ自体が、自他役務の出所識別標識として、視覚的に看者に強い印象を与えるものといった事情も見いだせないものであるから、本願商標の構成態様においては、当該図形部分をもって取引に資するというよりはむしろ、本願商標全体のほか、本願商標の構成中に顕著に横書きされた「NIPPON語学院」の上段文字部分をもって取引するとみるのが自然である。 そうすると、本願商標に接する取引者、需要者は、本願商標全体のほか、上段文字部分を捉えて取引することはあるとしても、図形部分のみを捉えて取引に当たるとはいい難いというべきである。 したがって、本願商標の構成中、図形部分を分離、抽出し、その上で、本願商標と引用商標とが類似するものとして、本願商標が、商標法第4条第1項第11号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、取消しを免れない。 その他、本願について拒絶の理由を発見しない。 |
コメント |
「両商標については、文字部分と図形部分を分離して観察することができ、図形部分については、90度回転させると扇子型図形として近似するものである。よって、文字部分の称呼・観念上の類否を検討すべきこともなく、商標全体で類似するものである。」との原審審査官の主張に対し、出願人は、審判請求書において、需要者が目にするそのままの図形方向にて審査すべきと考える、等と反論している。 |