商標審決レポート(Ethical Diamond)|知財レポート/判例研究|弁理士法人オンダ国際特許事務所

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商標審決レポート(Ethical Diamond)

本願商標「Ethical Diamond」は指定商品「ダイヤモンド,等」との関係において、商品の品質等を表示するものとはいえず、自他商品を識別する機能を果たし得るものであるとして登録すべきとされた事案

2021年9月30日
弁理士 八代則子

審判番号 不服2020-017014 (商願2019-096557)
事案の概要 本願商標「Ethical Diamond」は、その指定商品との関係において、商品の品質等を表示するものとはいえず、自他商品を識別する機能を果たし得るものであるとして登録すべきとされた事案
審決/判決 審決
審決日 2021年8月20日
出願人

株式会社ポンテヴェキオ ホッタ

商標 Ethical Diamond
指定商品

第14類 ダイヤモンド,ダイヤモンドを使用したキーホルダー,ダイヤモンドを使用した宝石箱,ダイヤモンドを使用した記念カップ,ダイヤモンドを使用した記念たて,ダイヤモンドを使用した身飾品(「カフスボタン」を除く。),ダイヤモンドを使用したカフスボタン,ダイヤモンドを使用した貴金属製靴飾り,ダイヤモンドを使用した時計

審決の内容

本願商標は、「Ethical Diamond」の文字を標準文字で表してなるところ、本願商標の構成中の『Ethical』は、『倫理的な』等を意味する語であり、また、『Diamond』は、宝石の一種である『ダイヤモンド』を意味する語として一般によく知られているものであって、これらを結合してなる「Ethical Diamond」の文字が、環境や社会に配慮して採掘され、産地が特定できるダイヤモンドを暗示させる場合があるとしても、本願の指定商品との関係においては、商品の具体的な品質等を直接的に表示したものとして直ちに理解されるとはいい難く、むしろ、特定の意味合いを認識させることのない、一種の造語として認識し、把握されるとみるのが相当である。
また、当審において職権をもって調査するも、本願の指定商品を取り扱う業界において、「Ethical Diamond」の文字が、商品の具体的な品質等を直接的に表示するものとして一般に使用されている事実は発見できず、さらに、本願商標に接する取引者、需要者が、当該文字を商品の品質等を表示したものと認識するというべき事情も発見できなかった。そうすると、本願商標は、その指定商品との関係において、商品の品質等を表示するものとはいえず、自他商品を識別する機能を果たし得るものである。
したがって、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、取消しを免れない。
その他、本願について拒絶の理由を発見しない。

コメント

審判において出願人により以下の主張がなされている。

「Ethical」の使われ方によって、「Ethical」の語から生じるとされる意味は、以下の通りそれぞれ大きく異なっている。

  • 環境や自然に配慮した(eco-friendly、green)
  • 人工または合成の(man-made、synthetic、Laboratory Grown)
  • 紛争の資金源とならない(non-blood diamond、conflict-free diamond)
  • 人権侵害がない
  • 産地が特定できる

この点からも「Ethical」の語からは多様な意味が間接的に生じ、「Ethical Diamond」の語からは所定の意味が直接的・一義的に定まるものではないと言える。