商標審決レポート(CATTYLEGO)|知財レポート/判例研究|弁理士法人オンダ国際特許事務所

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商標審決レポート(CATTYLEGO)

2021年1月4日
弁理士 木村達矢

審判番号 無効2018-890084(登録第5902786号)
事案の概要 CATTYLEGOのロゴからなる商標がLEGOのロゴからなる商標との間で商品の出所について誤認混同を生ずるおそれがあるとして無効とされた事案
審決/判決 審決
審決日 2020年3月25日
出願人 派斯威特國際有限公司
請求人 レゴ ジュリス エー/エス
商標

本件商標
商標審決レポート(CATTYLEGO) | 2021年

引用商標2
商標審決レポート(CATTYLEGO) | 2021年

引用商標3
商標審決レポート(CATTYLEGO) | 2021年

引用商標4及び使用商標
商標審決レポート(CATTYLEGO) | 2021年

指定商品

第20類「おもちゃ箱,犬小屋,飼料用棚,愛玩動物用小屋,愛玩動物用巣箱,愛玩動物用クッション」
第28類「愛玩動物用おもちゃ」

審決の内容

請求人の業務に係るブロック玩具は、我が国においては、1962年にブロック玩具を販売して以降、本件商標の登録出願時まで、50年以上にわたり我が国において販売を続けているものであり、本件使用商標が表示されている。その売上高は約81億円であること、子供向け市場では圧倒的なシェアがあること等からすれば、本件使用商標は、請求人の業務に係る本件使用商品を表示するものとして、本件商標の登録出願時(平成28年6月15日)には既に、我が国の玩具を取り扱う分野の取引者・需要者の間に広く認識されていたものと認めることができ、その周知著名性は、本件商標の登録査定時(同年11月8日)においても継続していたものといえる。

本件商標に接した取引者、需要者において、本件商標構成中の「LEGO」の欧文字部分は、請求人の取り扱うブロック玩具のブランドとしての「LEGO」を想起し得るものであって、出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものと認められる。また、本件使用商標は、いずれも請求人の創作によるものであり、独創性の程度は高いといえる。

本件商標の指定商品と本件使用商品とは、商品の関連性の程度が高いものであり、かつ、両商品の取引者、需要者が共通するといえる。

そして、本件商標の指定商品と請求人の業務に係る本件使用商品の取引者、需要者は、いずれも一般消費者であり、注意力はそれほど高いとはいえない。

本件商標と本件使用商標の類似性の程度、本件使用商標の周知著名性及び独創性の程度、商品等の関連性の程度、商品等の取引者、需要者の共通性その他取引の実情などに照らし、本件商標の指定商品の取引者、需要者において普通に払われる注意力を基準として総合的に判断すれば、本件商標権者が本件商標をその指定商品について使用した場合、これに接する取引者、需要者をして、その商品の出所について混同を生ずるおそれがあるものと判断するのが相当である。

コメント

本件は同じデザインでまとまりよく一連に表された「CATTYLEGO」のロゴからなる商標について周知著名な「LEGO」の商標が想起され、また、「LEGO」が造語で独創性が高く、商品の関連性を有することから、広義の混同のおそれがあるとして、無効としたものです。

本件商標は、統一されたデザインで全体を一体にまとまりよく表されていますが、引用商標が周知著名であること及び商品の関連性も認められ、混同のおそれがあると判断されたものと思われます。

本件商標の権利者は、審判請求に対して何ら応答をしていないことから、フリーライドの意図が窺われたのかもしれません。

商標の構成に周知著名商標を含む場合、全体として一体に表され、一般的には分離抽出されない態様であるとしても、なお混同のおそれがあると判断される可能性があることに注意を要すると思われます。