商標審決レポート(HIGHLAND CACAO)
「HIGHLAND CACAO」と「High Land」とは非類似と認められ登録すべきとされた事案
2020年10月15日
弁理士 八代則子
審判番号 | 不服2020-2227 (商願2018-162268) |
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事案の概要 | 「HIGHLAND CACAO」と「High Land」とは非類似と認められ登録すべきとされた事案 |
審決/判決 | 審決 |
審決日 | 2020年9月9日 |
出願人 | 株式会社 八木山高原 |
商標 | 本願商標 引用商標 |
指定商品 | 本願商標 第30類 チョコレート,菓子,パン |
審決の内容 |
本願商標は、「HIGHLAND CACAO」の欧文字よりなるところ、その構成文字は、同書、同大で外観上まとまりよく一体的に表されており、構成文字全体から生ずる「ハイランドカカオ」の称呼も格別冗長というべきものでなく、無理なく一連に称呼し得るものである。また、本願商標の構成中の「HIGHLAND」の文字が「高地、高原、山地」の意味を有し、「CACAO」の文字が「カカオの実」の意味を有する語であるとしても、それらを組み合わせた本願商標全体の語は、辞書等に掲載のないものであって、特定の語義を有するものとは認められず、本願商標は、一種の造語として、把握、認識されるものとみるのが自然である。そして、本願商標の上記構成及び称呼からすれば、取引者、需要者は、本願商標の構成全体をもって、一体不可分のものとして認識し、把握するとみるのが相当である。さらに、本願商標の構成中「HIGHLAND」の文字部分のみが取引者、需要者に対し商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものと認めるに足りる事情は見いだせない。そうすると、本願商標は、その構成文字に相応して、「ハイランドカカオ」の一連の称呼のみが生じ、特定の観念は生じないものである。したがって、本願商標の構成中「HIGHLAND」の文字部分を分離抽出し、「ハイランド」の称呼及び「高地。高原。」の観念をも生じるとし、これを前提に、本願商標と引用商標とが類似するとして、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとした原査定は、取消しを免れない。 |
コメント | 拒絶査定において、審査官は、本願商標の構成中「CACAO」の文字は、本願に係る指定商品との関係においては、その原材料を表す語であって、自他商品識別標識としての機能が無いか、あっても極めて弱いものといえ、本願商標は、「HIGHLAND」の文字部分が、取引者、需要者に対し商品の自他商品識別標識として強く支配的な印象を与えるもの(要部)であることからすると、本願商標と引用商標との類否判断に際して、本願商標から「HIGHLAND」の文字部分を抽出することは許されるとし、両商標は外観・観念・称呼において類似/共通であるとした。 |