商標審決レポート(THE KANSAI)
2020年8月31日
弁理士 木村達矢
審判番号 | 不服2019-14356(商願2019-18418) |
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事案の概要 | 「THE KANSAI」の欧文字からなる商標が「KANSAI\KANSAI YAMAMOTO」「KANSAI」の欧文字をデザイン化したロゴからなる商標と非類似と判断された事例 |
審決/判決 | 審決 |
審決日 | 2020年5月18日 |
出願人 | 株式会社コラボレーション |
商標 |
本願商標 引用商標1 引用商標2 |
指定商品 | 第30類 冷凍お好み焼き,お好み焼ソース,焼きそば用ソース,焼肉用ソース |
審決の内容 |
本願商標は,「THE KANSAI」の欧文字を一列に横書きしてなるところ,「THE」の欧文字と「KANSAI」の欧文字との間に,スペースが設けられているものの,その構成文字は,同じ書体によりまとまりよく一体に表されているといい得るものであって,その構成文字全体から生じる「ザカンサイ」の称呼も冗長ではないから,よどみなく一連に称呼し得るものである。 そして,本願商標を構成する「THE」の文字は,「その,例の」等の意味を有し,「KANSAI」の文字は,「東京地方を関東というのに対して,京阪神地方」を意味する「関西」の文字をローマ字で表記したものと認められるものの,本願商標全体としては,直ちに何らかの意味合いを理解させないことから特定の観念は生じない。 してみれば,本願商標は,かかる構成及び称呼から,これに接する取引者,需要者に,「KANSAI」の文字部分のみを分離して看取させるというよりは,むしろ,全体を一体不可分のものと認識,把握させるとみるのが相当であるから,これより「ザカンサイ」の一連の称呼のみを生じ,特定の観念を生じない造語として認識されるというべきである。 したがって,本願商標と引用商標は、区別可能であり類似しない。 |
コメント |
原査定は、「THE」は英語の定冠詞で識別力が弱いことから、「KANSAI」を要部として抽出し、「KANSAI」の文字からなるロゴとは称呼を共通にして類似すると判断したと思われる。 これに対して、審決は「THE KANSAI」が全体を一体不可分の造語と認識されるとして、「KANSAI」の文字からなるロゴとは区別可能と判断した。 「KANSAI」は、京阪神地方の地域名称をローマ字で表記したものであり、引用商標も特徴的なデザインが施されたロゴからなり、「KANSAI」の文字自体は識別力を欠くか、弱いと判断され、この部分が要部として抽出されることはないと判断したものと思われる。 また、引用商標が被服について周知著名であり、本願指定商品とは大きく異なるとの具体的取引実情が考慮されたのかもしれない。 「THE」を含む結合商標においては、一般的には他の部分が抽出されることが多いと考えられるが、組み合わされる語の識別力の強弱や具体的な事情によっては、全体を一体不可分の造語と判断されることがあるといえる。 |