限定公開【判例研究】令和5年(行ウ)第5001号 出願却下処分取消請求事件 -AIは発明者になれるのか?-
2025年1月10日掲載
弁理士 二宮佳亮
1. はじめに
AIは、発明者になれるか否か、いわゆるAIの発明者適格について判示された令和5年(行ウ)第5001号 出願却下処分取消請求事件を紹介する。
2. 本件の概要
発明者の氏名欄には、「ダバス、本発明を自律的に発明した人工知能」、と記載されてた出願(以下、DABUS出願という。)について、出願却下の取り下げを求めた裁判で、請求が棄却された。
3. 事件の経緯
令和2年8月、原告は、発明者の氏名欄に「ダバス、本発明を自律的に発明した人工知能」と記載した国内書面を特許庁に提出した。
令和3年7月、特許庁は、発明者の氏名欄に自然人を記載するように補正命令をした。
その後、原告は、補正命令に従わず、補正は不要の上申書を提出した。
その後、特許庁は、国内書面に方式違反があるとして出願却下をした。
4. 特許庁の立場
発明者の表示は、自然人に限られるものと解しており、願書等に記載する発明者の欄において自然人ではないと認められる記載、例えば人工知能(AI)等を含む機械を発明者として記載することは認めていない。
発明者等の欄に自然人ではないと認められる記載がある場合、願書などの記載に事項に不備があるものとして、手続に方式上の違反がある場合に該当することから、補正命令をする。
5. 裁判所の判断
以下の点を詳述して、特許法に規定する「発明者」は、自然人に限られるものと解するのが相当である。と判示している。
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