限定公開【判例研究】増項補正に関する判例紹介|知財レポート/判例研究|弁理士法人オンダ国際特許事務所

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限定公開【判例研究】増項補正に関する判例紹介

2024年11月15日掲載
弁理士 天野真理

令和4年4月28日判決言渡 令和3年(行ケ)第10097号審決取消請求事件「ゴルフスイングモニタリングシステム」

 

1.はじめに

 今回は、拒絶査定不服審判の請求と同時になされた、特許請求の範囲の請求項の数を増加させる補正(増項補正)についての裁判例をご紹介します。

 最終的に、この事件における増項補正は、特許請求の範囲の限定的減縮(特許法第17条の2第5項第2号)を目的とする補正には該当しないと判断されました。判決では、増項補正が限定的減縮を目的とする補正に該当し得るか否かをどのように判断すべきかが示されています。

 

2.事件の経緯

 原告は、発明の名称を「ゴルフスイングモニタリングシステム」とする発明について、平成27年4月22日を国際出願日とする特許出願(特願2016-563421号)をしましたが、審査を経て、令和2年1月28日付けで拒絶査定を受けました。そこで、原告は、令和2年5月29日に拒絶査定不服審判(不服2020-7323号)を請求するとともに、特許請求の範囲について手続補正を行いました。特許庁は、令和3年4月6日、この補正を却下する旨の決定をした上で、「本件審判の請求は、成り立たない。」との審決をし、その謄本は、同月27日、原告に送達されました。原告は、令和3年8月19日、本件審決の取消しを求める本件訴訟を提起しました。

 

3.却下された手続補正の概要

 審判請求と同時に行われた手続補正では、新たな請求項8が追加されました。補正前の請求項と補正後の請求項との対応関係は以下のように表すことができます。

補正前の請求項

補正後の請求項

補正内容

請求項1

請求項1

元の請求項1を補正

請求項2~7

請求項2~7

補正なし

請求項?

請求項8

新たに追加

請求項8

請求項9

補正なし

請求項9

請求項10

元の請求項9を補正

請求項10

請求項11

元の請求項10を補正

(以下略)

 

 

 以下に説明するように、新たに追加された請求項8が補正前のどの請求項と対応関係を有しているかについて、裁判所は、原告(出願人)および被告(特許庁)の主張と異なる判断を示しました。

 

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