限定公開【判例研究】令和4年(行ケ)第10019号 審決取消請求事件(多角形断面線材用ダイス事件)
2023年6月2日掲載
弁理士 立山千晶
1.事件の経緯
日付 | 手続 | 備考 |
2015年 9月 6日 |
出願 |
|
2016年11月 4日 |
設定登録 |
請求項1~16 |
2017年 5月12日 |
異議申立 |
異議2017-700464 争点:新規性、進歩性 |
2019年 1月30日 |
異議決定 |
請求項1~12維持 |
2020年 4月21日 |
無効審判請求 |
無効2020-800043 争点:訂正要件違反(新規事項追加)、サポート要件、明確性、新規性、進歩性 |
2022年 1月20日 |
審決 |
不成立 |
2022年 2月28日 |
出訴 |
令04行ケ10019 |
2022年11月16日 |
判決 |
審決取り消し |
2.本件特許発明
【請求項1】
A 略円筒形形状をもつ引抜加工用ダイス(101)を保持し前記引抜加工用ダイスの前記略円筒形形状の中心軸を中心として前記引抜加工用ダイスを回転させるダイスホルダー(902)と、
B 内部に収納された潤滑剤が材料線材(A-1)に塗布された後前記引抜加工用ダイスに前記材料線材が引き込まれるボックス(905)と、を含む引抜加工機(900)であって、
C 前記引抜加工用ダイスのベアリング部(101b)の開口部は略多角形の断面形状を有し、
D 前記開口部の断面形状が前記材料線材の引抜方向に沿って同じであることを特徴とする引抜加工機。
【図1】
【図7】
【技術分野】
【0001】
本発明はダイス、特に引抜加工で用いるものに関する。
建築用などの直線性が求められる線材の生産には、引抜加工機及びドローイングマシンを用いて引抜加工をすることが一般的である。
【背景技術】
【0015】
棒状材、線材等の鋼材をダイスによって引抜き加工するに際しては、一般にダイスの前側に設けられたボックス905内に粉状固形の潤滑剤を収容し、この潤滑剤が線材Aに付着する。ドローイングマシン903の引抜き時におけるアプローチ部901aでの加工発熱によりこの粉状の潤滑剤が油膜となる。この油膜に粉状の潤滑剤が付着することで、塊ができる。この塊は引抜加工を連続するごとに肥大化し、材料線材A-1の表面への潤滑剤の供給が阻害される。結果として完成線材A-2の表面に傷が発生することが考えられた。
【0016】
また、これらの塊を除去する際には作業を一旦止める必要があり、結果として生産量の低下が避けられないものとなっていた。特にツイストバーを製造するに際しては、この弊害が著しく、製造原価を下げられない一因となっている。
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
本発明の目的は、潤滑剤の塊の発生を極力防ぐこと及びそのメンテナンスに要する時間を極力低減させ、結果多角形断面の線材の製造コストの低減を図る手段を提供することにある。
…
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