限定公開【判例研究】最近のパチンコ技術に関する裁判例のご紹介(1) 令和2年(行ケ)第10035号 審決取消請求事件(令和3年3月29日判決言渡)
2021年11月11日掲載
弁理士 山本 実
最近のパチンコ技術に関する裁判例をご紹介します。
令和2年(行ケ)第10035号 審決取消請求事件(令和3年3月29日判決言渡)
1.事件の概要
発明の名称を「遊技機」とする特許出願に関し、審決は、引用発明との一致点の認定を誤り、相違点を看過し、相違点の容易想到性の判断にも誤りがあるとして、審決が取り消された事例。
2.本願発明
拒絶査定不服審判の請求とともにした補正後の「特許請求の範囲」の請求項1の記載は、次の通り。以下、同請求項1に係る発明を「本願発明」と示す。
【請求項1】
当否判定結果を示すための複数の識別図柄を含む識別図柄群が変動表示される表示装置と,
単位演出が一または複数回連続的に発生する演出であって,当該単位演出の発生回数により当否判定結果が当たりとなる蓋然性を示唆する連続演出を実行する連続演出実行手段と,
ある前記単位演出の発生後に前記表示装置において変動表示される前記識別図柄群に含まれる複数の識別図柄のうちのいずれかは,当該ある単位演出の発生前に前記表示装置において変動表示されていた前記識別図柄群には含まれていなかった新規の識別図柄となるように設定された図柄群変化演出を実行する図柄群変化演出実行手段と,
を備え,
前記複数の識別図柄のそれぞれは,基本的態様を示す基本要素部と,第一属性および第二属性のいずれが設定されているかを示す属性要素部と,を含み,
前記第一属性が設定された識別図柄によって当否判定結果が当たりとなったことが示された場合における遊技者が享受する利益の期待値は,前記第二属性が設定された識別図柄によって当否判定結果が当たりとなったことが示された場合における遊技者が享受する利益の期待値よりも大きく設定されており,
前記新規の識別図柄は,前記単位演出の発生前には前記第二属性であった識別図柄が,前記基本要素部を維持させつつ前記属性要素部を変化させてなる前記第一属性の識別図柄であることを特徴とする遊技機。
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