米国特許商標庁(USPTO)が中国の商標事務所に制裁命令 -米国商標出願15,000件を取り消し|外国知財情報|オンダ国際特許事務所

米国特許商標庁(USPTO)が中国の商標事務所に制裁命令 -米国商標出願15,000件を取り消し|外国知財情報|オンダ国際特許事務所

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米国特許商標庁(USPTO)が中国の商標事務所に制裁命令 -米国商標出願15,000件を取り消し

2021年12月27日
米国特許弁護士 マイケル・ピストリオ

不正に行われた大量の商標出願への対応の一環として、米国特許商標庁(USPTO)は2021年12月10日、中国の商標事務所であるShenzhen Huanyee Intellectual Property Co., Ltd.(深圳市寰逸知知識産権有限公司)とその代表であるYusha Zhang(張玉沙)に対して制裁を科した。捜査の結果及び2021年6月にUSPTOが出した理由提示命令に対し、同事務所から十分な説明がされなかったことを受け、同事務所が行った15,000件の商標出願が取り消されることとなった。

ウェブサイトを通じて米国商標登録サービスを宣伝していたものの、この商標事務所には、米国での代理資格を有する弁護士が在籍していなかったとUSPTOは判断した。それにもかかわらず、同事務所はUSPTOに複数のアカウントを登録し、米国商標出願について顧客の相談に乗り、米国商標出願の願書等の書類を提出し、顧客のための商標業務に従事していた。同事務所は、理由提示命令に対する答弁書において、USPTOの規則に違反したことは認めたものの、故意に行ったものではなく、制裁を受けるべきではないと主張した。しかし、USPTOはこれを認めず、同事務所の行為は故意によるもので「意図してUSPTOの規則の裏をかく行動パターンの一種」と判断した。

中国政府が外国での知的財産権取得に対して助成金を支給したことが誘因となり、中国からの低品質の商標出願が殺到したことに、USPTOは対処してきた。また、USPTOは、2022年1月8日から商標出願人に対するID確認プログラムを新たに制定する予定である。2022年4月9日以降は、ID確認ができない限り、TEASやTEASi といった商標オンライン出願システムを使った電子出願ができなくなる。