シンガポール特許法改正及び審査ガイドラインの改正(2017年10月30日発効) The Patents (Amendment) Act 2017 The Patents (Amendment No. 2) Rules 2017
シンガポールの特許法及び審査ガイドラインが改正されました。主な改正点は以下のとおりです。
1)新規性喪失の例外適用条件の緩和
以下の場合にも新規性喪失の例外が適用されることになりました。
・発明者自身、あるいは発明者から直接的・間接的に発明の内容を取得した者による開示
・出願が発明者の同意なく出願された場合
・誤って公開された場合(公開前に出願が取下げ、拒絶、あるいは放棄されたため、本来公開されるべきでないのにも関わらず公開されてしまった場合)
また、これまで新規性喪失の例外適用の申請は出願日に行う必要がありましたが、以下のタイミングで申請できるようになりました。
・サーチ及び審査の請求時
・審査請求時
・アクション応答時
・審査報告またはサーチ及び審査の報告に対するレビューの請求時
2)補足の審査:Supplementary Examination(外国のサーチ及び審査に基づく特許付与手続き)廃止の予定
シンガポールでは、対応外国出願のサーチ及び審査に基づいてシンガポール特許付与を請求するルートがありますが、このルートは2020年1月1日以降に出願される全ての特許出願から廃止されます。つまり、2020年1月1日以降のシンガポール特許出願は、すべてシンガポール特許庁の実体審査を受ける必要があります。
2020年1月1日以降のシンガポール出願とは、
(a)2020年1月1日以降に出願されたシンガポール国内出願
(b)2020年1月1日以降のPCT国際出願日を有するシンガポール国内移行出願
(c)2020年1月1日以降に出願された分割出願
また、徐々にシンガポール特許の審査の質を高めていくため、2017年10月30日から、審査官は補足の審査として、発明の主題がシンガポールにおいて特許可能であるかどうかについて審査することになりました。
3)実体審査と補足の審査の変更
実体審査ルートと補足の審査ルートとを互いに変更できるようになりました。
条件は以下の通りです。
(a)実体審査請求書あるいは補足の審査請求書を取り下げること
(b)実体審査報告書あるいは補足の審査報告書が発行されていないこと
(c)実体審査請求書あるいは補足の審査請求書の提出期限を過ぎていないこと
4)自然界から単独に取り出して純正化した物質あるいは微生物について
自然界に既に存在する物質あるいは微生物を見つけることは「発見」であって、自然界から単独に取り出して純正化した物質あるいは微生物自体は発明とはなりません。
これに対し、自然界から単独に取り出して純正化した物質あるいは微生物の新たな利用に創作がある場合、その新しい利用についてクレームすることができます。
5)特許付与後の補正
最近の判例に基づいて、特許付与後の補正の審査方法がより明確になりました。
特許付与後の補正が行われる場合、審査官はまずその補正が、明らかに無効なクレームに対するものであるかどうかを検討します。(以前のself-assessment systemで特許付与となった案件には、無効なクレームが含まれている場合があります。)もし、明らかに無効なクレームに対する補正であると判断された場合は、その補正が追加事項を含むか、あるいは既に特許付与された権利範囲を広げるものであるか等を考慮することなく、補正を却下します。