ベトナム 知的財産法の改正
2022年6月16日に批准され、2023年1月1日に施行予定の改正ベトナム知的財産法において、特許に関するトピックスをご案内します。
新規性の規定
現行の知的財産法では「当該出願の出願日(または優先日)より前に発行された刊行物に開示されている」場合は発明の新規性がないと規定されています。
改正後は「当該出願の出願日(または優先日)より前に国内外において公知である」「当該出願の出願日(または優先日)が早い他の特許出願で、当該出願の出願日(または優先日)以降に公開される特許出願に開示されている」場合は新規性がないとみなされることになります。
特許の無効理由の追加
現行の二つの特許無効理由に、いくつかの規定が追加されました。
- ベトナムの国防、安全保障に影響を与える発明を、ベトナムより先に外国出願した場合
- 遺伝資源または遺伝資源に関連する伝統的知識に基づいて創作された特許出願で、出所を開示せず、または誤って開示した場合
- 出願人が出願する権利を有しない場合(現行どおり)
- 新規性、進歩性、産業上の利用可能性、特許性の要件を満たしていない場合(現行どおり)
- 明細書またはクレームの補正が、出願時の開示の範囲を超える場合
- 当業者が実施できるよう明確かつ十分に発明が開示されていない場合
- 特許付与されたクレームが、出願時の開示の範囲を超える場合
- 発明が先願主義を満たさない場合
異議申立
改正法では、新たに異議申立制度が導入されます。
異議申立期間は、出願公開日から9ヶ月以内、かつ特許付与日前です。異議申立書は書面で提出し、手数料を支払う必要があります。
対応特許出願審査結果の利用
特許出願の審査において、対応する外国特許出願の審査結果を公式に利用することを認める規定が追加されました。
医薬品の強制実施権
ベトナムが加盟している国際条約に基づく輸入条件を満たす他国の疾病予防・治療用医薬品の需要に応えるため、強制実施権付与の根拠に追加されました。