中国専利法第3次改正 ~意匠編~|外国知財情報|オンダ国際特許事務所

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中国専利法第3次改正 ~意匠編~

2009年10月1日から施行された中国専利法第3次改正のうち、意匠特有の事項についてお知らせします。

I.出願についての改正
1.意匠の登録要件(23条)

意匠の新規性等に関する登録要件が変更されました。
登録を受けることができる意匠は、
i) 従来のデザインに属さないもの、同様の意匠が出願日前にいかなる機関又は個人によっても出願されておらず、かつ、出願日以降に公告された専利書類に記載されていないもの
ii) 従来のデザイン又は従来のデザインの特徴を組み合わせたものに比べて明らかな相違があるもの
iii) 出願日前に他人が既に取得している合法的権利と抵触しないもの
でなければなりません。

ここでいう従来のデザインとは、出願日前に国内外で公衆に知られているデザインのことをいいます。

2.類似意匠出願制度の導入(31条)

同一の製品に関する2つ以上の類似意匠を1件の出願とすることができるようになりました。
類似意匠とは、全体観察した場合、他の意匠と基本意匠とが同一または類似したデザイン的特徴を備えており、かつその意匠と基本意匠とが実質的に同一である意匠を言います。

類似意匠は以下の点に留意する必要があります。
i)  同一出願人、同日出願の場合、10個まで
ii) 図面は、設計1、設計2、設計3・・・と表示する
iii) 「簡単な説明」で基本意匠を指定する
iv) 出願庁料金は1件分のみでよい
v) 譲渡する場合、全意匠を一括して譲渡する必要がある
vi) 無効審判では、新規性と創作性の欠如などによる部分無効が可能

3.不登録事由の追加(25条)

権利を付与しない意匠として、平面印刷物の図案、色彩又は両者の組み合わせによって作成され主に標識機能を有するデザインが追加されました。

4.意匠出願の提出書類(27条、59条)

意匠出願を行う際に、意匠に関する「簡単な説明」を提出することが必須となります。また、提出する図面又は写真は保護を求める意匠を明瞭に示していなければなりません。(27条)
「簡単な説明」は図面又は写真に示された製品の意匠の解釈に用いられることができるようになります。(59条)

「簡単な説明」の記載内容は以下の通りです。
i) 意匠に係わる製品の名称
願書における製品の名称と一致する必要がある。
ii) 意匠に係わる製品の用途
製品の区分確定につながるような用途。複数種の用途を持つ製品は、対象製品の複数種の用途を明記する。
iii) 意匠の設計要点
設計要点とは、従来意匠と区別されるような製品の形状・図案およびその組み合わせ、あるいは色彩と形状、図案の組み合わせ、又は部位を指す。
iv)  設計要点が最も明瞭に示されている図面あるいは写真の指定
意匠公報の発行に利用される。

*「簡単な説明」には、商業的な宣伝文句を用いてはいけません。また、製品の機能についての説明もしてはいけません。

II. 権利行使に関する改正
1.意匠権侵害と見なす範囲の拡大(11条)

意匠権侵害とみなされる事項として、意匠権付与後、専利権者の許諾を得ずに販売の申し出を行うことが追加されました。販売の申し出とは、カタログ、チラシ、展示、ホームページでの記載などを指します。

2.公知デザインの抗弁について(62条)

専利権侵害係争中において、権利侵害で提訴された者が、実施した技術又はデザインが従来の技術又はデザインであることを立証した場合、専利権侵害とはならない旨の規定が追加されました。

3.意匠の評価報告について(61条)

侵害係争が実用新案権に係わる場合、国家知識産権局によって作成された「専利権評価報告」を提出するよう要求されることがあります。改正により、意匠についてもこの規定が適用されることになりました。また、「専利権評価報告」は、係争の審理における証拠とすることができる旨の規定が追加されました。