商標審決レポート(NIGHT MUSK)|知財レポート/判例研究|弁理士法人オンダ国際特許事務所

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商標審決レポート(NIGHT MUSK)

商標「NIGHT MUSK」は自他商品の識別標識としての機能を果たし得るものであり、かつ、商品の品質の誤認を生ずるおそれがあるものということもできないとして登録すべきとされた事案

2025年1月29日
弁理士 八代則子

審判番号

不服2024-012154 (商願2023-076250)

審決/判決 審決
審決日 2024年11月27日
出願人 株式会社ノルコーポレーション
商標 NIGHT MUSK
指定商品 第3類 せっけん類,化粧品,香料,薫料,洗濯用柔軟剤
審決の内容

本願商標は、「NIGHT MUSK」の欧文字を一列に横書きしてなるところ、この文字自体は辞書類に掲載されているものではない。

そして、その構成中、「NIGHT」の文字が「夜」などを、「MUSK」の文字が「じゃこう[ムスク](の香り)」を、それぞれ意味する語であるとしても、それらを結合させた本願商標全体として、何らか特定の意味合いが認識し得るとはいえず、また、そのようにいうべき事情も見当たらないものである。

また、当審において職権をもって調査するも、本願の指定商品を取り扱う分野において、「NIGHT MUSK」の文字の読みを片仮名で表したといえる「ナイトムスク」の文字が、商品の香りを表現するものとして使用されている事例がわずかにあるとしても、いずれの事例にも共通した特定の香りを表現するために「ナイトムスク」の文字が使用されているものではなく、その香りを「ナイトムスク」と表現する明確な理由も発見できなかった。また、本願の指定商品を取り扱う分野において、それが商品の品質(香りの内容)を表現する語として、取引者、需要者に広く理解、認識されているといえるほどに、一般的に使用されているというべき事実を発見することもできなかった。

そうすると、本願商標は、特定の意味合いを認識させない造語というべきものであって、これをその指定商品に使用しても、商品の品質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標とはいえず、自他商品の識別標識としての機能を果たし得るものであり、かつ、商品の品質の誤認を生ずるおそれがあるものということもできない。

したがって、本願商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、取消しを免れない。

コメント 出願人は、本願商標「NIGHT MUSK」について、この世に「ナイトムスク」という香りは存在せず、香りの具体的特定が不明で、品質を表示しているという確たる証拠も無いことから、それ自体香りの内容を示す品質表示として一般に使用されているものとは言えず、むしろ一種の造語であり、別意が生じることから識別力を有するものであるとの主張をしている。