中国におけるアイコン意匠無効審判事案
2024年11月19日
中国弁理士 梁 煕艶
審判番号 |
無効審判請求審判決定書(第41733号) |
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審決日 |
2019年9月11日 |
中国意匠権 |
201730667916.7 |
意匠名称 |
移動通信設備に用いるGUI(動画共有) |
意匠権者 |
北京微播視界科技有限公司 |
無効審判 請求人 |
乔金 |
意匠権1 |
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従来設計 |
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審決の内容 |
意匠権1と従来設計4-2を比較すると、両者の相違点は次の通りである。 (1)従来設計4-2には携帯電話の形状が開示されていない。 合議体の認定 従来設計4-2と従来設計5は同じ製品カテゴリに属し、従来設計4-2のGUIはソフトウェアのダウンロード・インストールによって携帯電話上に表示することができる。また、従来設計5の携帯電話はインストール後にGUIを表示可能であるため、両者には組み合わせの示唆が存在する。意匠権1の携帯電話と従来設計5の携帯電話を比較すると、両者の携帯電話の形状は基本的に同じであるため、上記の相違点(1)は従来設計5によって開示されていたといえる。 上記の相違点(2)については、コンテンツ画面はGUI意匠の保護範囲に含まれない。 上記の相違点(3)については、まず、意匠権は文字の音声や意味を保護せず、文字を単なる模様として取り扱っている。これらの文字は異なる言語の使用者に合わせて調整されるものであるが、位置やサイズ比率は基本的に一致しており、主に機能ラベルやアイコンの機能を識別するためのものである。したがって、これらの文字の違いはGUIの全体にとって微細な差異にすぎず、製品の全体的な視覚効果に顕著な影響を与えていない。 以上により、全体的観察および総合的判断の原則に基づき、意匠権1は従来設計4-2および従来設計5の組み合わせと比較すると、両者の携帯電話の形状が同一であり、GUIの全体的な配置も同じで、応用と機能アイコンも類似している。両者の違いは配置のわずかな差異にすぎず、全体の視覚効果に顕著な影響を与えていない。以上のことから、意匠権1は従来設計の組合せと比較して明確な区別がなく、専利法第23条第2項で規定される創作非容易性の要件を満たしていない。 |
意匠権2 |
上記意匠権1に対する判断とほぼ同様であるため、意匠権2に関する説明は省略する。 |
コメント |
中国の意匠権は実体審査を経ずに登録される。意匠権の実質的登録要件の判断は、無効審判の審決を通じて初めて明確にされることになる。本件意匠権は動画共有GUIに関するものであり、GUIに表示される文字は単なる模様として扱われ、その音声や意味は保護対象ではないことが本件無効審判の審決で明示された。また、本件意匠権と従来設計における中文と英文との違いは、異なる言語の使用者に対応するための調整にすぎず、GUI全体にとしてはわずかな差異にとどまると評価されている。 この事案を通じて、GUI関連の意匠、特にアイコン意匠の文字表示に関する明確な基準が示された。中国における創作非容易性の判断基準を知るための一助となる審決例であるといえる。 |