年頭ごあいさつ
(パテントメディア2010年1月発行第87号掲載)
所長 弁理士 恩田誠
新年あけましておめでとうございます。
2008年9月のサブプライムローン問題発生以降、昨年は日本企業にとって大変厳しい一年でした。昨年のうちに、景気回復の兆しがあるとの予測もありましたが、現実によい雰囲気を感じることはなかなかできません。 今年こそ、景気が上向き、皆様の企業におきましても、研究・開発が活発になりますようお祈りしております。
2009年概況
これまで「特許事務所は景気の影響を受けにくい」といわれてきましたが、今回の不況は今までに経験したことのない程のもので、当所においても昨年は業績の落ち込みを経験しました。開発費用が削減される中、出願件数を厳選すると共に、外国出願の国数を減らす企業が多かったように感じられます。
そのような中、おかげさまでリストラを行うこともなく、当所の従業員数は過去最高の255名となりました。なお、昨年は所内から4名(金森晃宏、佐藤寛子、戸部田学、森(旧姓:村瀬)有希)が弁理士試験に合格いたしました。この4名が研修を終えて登録をすると、当所の弁理士は26名となります。今後も専門性のさらなる強化を目指し、知財に関するあらゆるニーズにお応えできる組織作りに努めて参ります。
2009年の当所の活動
1.マスコミへの登場
昨年は、当所によるマスコミへの登場が多い一年でした。NHK教育テレビの職業紹介番組「あしたをつかめ」では、当所の特許技術者が出演し、特許事務所での仕事を広く世の中に紹介することができました。また、情報番組、「おはよう日本」(NHK)、「スッキリ」(日本テレビ)、「サキヨミLIVE」(フジテレビ)の知財関連の特集への出演や制作協力に関与しました。その他、新聞、雑誌や知財専門誌への投稿や取材も多数ありました。世間の知的財産への関心の高まりを実感した一年でした。
2.情報収集と情報発信
昨年は、INTA、AIPLA、APAAなど国際会議に参加し、多くの情報を収集し、各国の代理人との意見交換を行いました。また、「中国専利法 第3次改正セミナー」、「意匠中間処理セミナー」、「商標入門セミナー」、「特許になる発明をバンバン生み出し参入障壁を構築する方法セミナー」など、当所主催のセミナーも多く開催いたしました。当所の情報発信が、皆様の知財活動の一助となれば幸いです。
3.農林水産知財への関与
私が日本弁理士会の農林水産知財対応委員会の副委員長を務め、当所が農林水産知的財産保護コンソーシアムや、食と農林水産業の地域ブランド協議会の会員になっていることもあり、農林水産知財に関する業務に多く関与しました。このような関連で、昨年は、静岡、山梨、鹿児島、福井、北海道と、全国各地でセミナーの講師を行いました。農水ブランドの立上げ、地域団体商標登録、海外での不正登録の防止など、当所の総合力が農水分野でもお役に立てるものと自負しております。
また、最近では、種苗法の品種登録の代理業務も行っております。当所ホームページでは、「農林水産知財専科」というページを立ち上げ、農林水産の知財情報を積極的に発信しております。
4.QCサークル活動
今年も2回の所内QCサークル発表会を開催し、全所を挙げて積極的な活動を行い、多くの改良・改善が実現しました。また、外部発表では、第5121回QCサークル全員参加大会にて図面部が東海支部長賞、第5075回QCサークル総合交流大会にて総務部が東海支部長賞をそれぞれ受賞しました。また、総務部が石川馨賞を受賞しました。その他、当所のQCサークルが多くの企業に招待されて、発表するということもありました。QCサークル活動は、業務の質の向上につながるのみならず、所員どうしの結束力を高めることにも貢献していると実感しています。
2010年の取り組み予定
1.さらなる情報発信
今年も当所主催のセミナーを多数計画しています。また、好評を博しております、少人数を対象にした意匠・商標実務勉強会も引き続き開催する予定です。
また、当所ホームページの大幅リニューアルを予定しており、知的財産に関する情報を更に迅速に、更に分かりやすく提供してまいります。所内の各部門には、情報発信担当を設け、常に最新情報を公表できる体制を整えています。
2.米国・中国知財サービスのさらなる充実
昨年10月から、米国特許弁護士のチャールズ・ベルジェアが入所し、ファーと共に米国特許弁護士が2名体制となりました。なお、ファーは4月より東京オフィスに赴任の予定ですので、今後は首都圏のお客様にも、米国特許鑑定や侵害などのご相談に容易に応じることができるようになります。
また、昨年は、岐阜オフィスに中国対策室を設立し、日本のお客様の中国出願をよりスムーズに行う体制を整えました。設立8年を迎える当所上海オフィスと共に、さらなるサービスレベルの向上を目指します。
3.開発コンサルティング事業
「特許になる発明をバンバン生み出し参入障壁を構築する方法セミナー」の開催や、メールマガジン「勝ち組になるための特許活用ノウハウ勢揃い」の配信を通じて、当所が提唱する「特許ポートフォリオ・ディベロップメント」の構築コンサルティングを行っています。サービス開始以来3年を経過し、導入実績も増えてきました。今後も皆様の企業の知的財産活動が更に活発になるようなアドバイスを通じて、様々な形でお手伝いをさせていただく所存です。
4.品質向上への取り組み
所内での法律・実務の勉強会を更に頻繁に開催し、事務所全体の知識レベルのアップを図ることで、品質向上を目指します。判例研究会は、実務担当者が全員参加で行い、研究成果は当所ホームページなどを通じて公表いたします。また、特許では、シフト補正禁止の対象出願がそろそろ中間処理の段階に入りますので、拒絶対応、クレーム展開方法の研究を行います。
また、事務手続き面でも、第40回を迎えるQCサークル活動、改善提案制度による活動を通じて、より高い品質での事務手続きを目指します。QC、改善の活動の成果を所内システムに反映させ、業務の自動化、効率化を行うことで、より確実な事務手続きを実現させます。
本年も皆様のさらなるご支援を心よりお願い申し上げます。