2020.03.09
第51・52回活動テーマ
第51回活動テーマ(抜粋)
ハーグ協定加盟への対応(意匠部)
日本がハーグ協定に加盟したことで、日本からも意匠の国際登録の申請ができるようになりました。そこで、特許のPCTや商標のマドプロと呼ばれる国際登録制度を参考にして、意匠部の新体制を構築しました。国際登録制度のメリットとデメリットを把握し、国ごとに異なる意匠法を整理して作業手順を確立し、管理システムも構築しました。 この活動により、お客様の依頼に対して不備のない手続きができる体制が整い、日本でいち早く国際出願に対応した特許事務所となりました。
中途受任、何百件来ても大丈夫!(国際管理部 外内G)
外国のお客様からのご依頼により、他の特許事務所を通じて日本に出願した753件を当所に移管することになりました。
各案件の書誌情報や出願後の経過情報を1件づつ管理システムに入力していては中途移管の手続きがいつ終わるかわかりません。 そこで、特許情報プラットフォーム「J-PlatPat」から必要なデータを抽出するシステムを構築しました。手入力によるミスの可能性もなくなり、特許庁に提出する移管手続きの書類を効率よく作成できるようになりました。その後、別のお客様から140件の移管依頼をいただきましたが、スムーズな対応ができました。
図面の修正回数の削減~美しい図面で出願を~ (国内管理部)
オンライン出願に用いる図面データは紙に出力したものをスキャナーでPDF化していました。その際、スキャナーの汚れを取り込んだり細線がかすれていたり、など不具合があるとスキャンをやり直す手間が生じていました。当所が使用しているCADソフトからオンライン出願システムが対応できるデータ形式に変換することが困難で、過去に何度も試みては失敗していました。 システム開発部と図面部を巻き込んでこの課題に挑戦し、ようやくCADデータを変換するソフトの開発に成功しました。スキャンしたPDFデータと比べて品質が向上し、お客様にご提供する出願データの容量も小さくすることができました。
意匠図面の破線化加工時間を短縮する(図面部)
「部分意匠制度」では登録を受けようとする部分以外の物品形状を破線で表現します。形状が複雑な場合は、破線同士が重なって実線に見えたり、細かい箇所では破線のピッチが粗すぎて形状がわからないなどの問題があったため、CADシステムの「破線」を徹底的に研究することにしました。マニュアルを読み、サポートセンターに相談し「拡張線種」という機能を用いて新規の破線を作ることができました。用途によって複数の破線を使い分けることができるようになり、図面の品質向上と作用の効率化を図ることができました。
FMEA表(失敗モード影響分析表)を利用したミスの未然防止策(東京管理部)
過去に所内で発生したミスを調べてみると、8割は意図しない状況で発生していました。「自分たちも、いつかミスをするかもしれない」と不安に感じる作業を洗い出し、ミスを未然に防ぐための対策を実施しました。想定されるミスについて、失敗モード影響分析表(FMEA表)を用いて分析し、重大な結果を招く恐れのあるものについて重点的に取り組みました。対策を考える中で、業務に関する知識やミスへの意識を高めることができたとともに、お客様や事務所への影響が大きなミスを防止することができました。
第52回活動テーマ(抜粋)
意匠図面チェックリストを見直して作図時間を短縮したい(図面部)
5年前に作成した意匠図面用のチェックリストは項目が多く、チェックに時間がかかり、作業効率ダウンの原因となっていました。そこで、個々のメンバーが作業をしている様子を観察し問題点を把握しました。項目やチェックのタイミングを見直し、チェック方法を標準化するための教育やマニュアルも作成しました。さらに、図面を仕上げた後、まとめてチェックをしていた従来手順を、作図途中に複数回のチェック工程を加える手順に変更し、作業効率と品質の向上につながる活動ができました。
遅い日当番の負担軽減(国内管理部)
定時後や夜間の出願手続きに対応するために「遅い日当番」を設け、メンバーが日替わりで対応しています。しかし、当番への負荷が増えてきたため、業務内容を見直しました。以前と比べて、手間のかかる「分割出願」が増えたことがわかり、作業手順を見直しました。出願手続き終了後に発生する作業を洗い出し、翌日に回せる作業と当日作業に分類しました。また個別にお客様と取り決めをした特別ルールが増えていることもわかったので、ルール一覧表を改良しました。当番者への負荷が減り、残業時間を削減することができました。
特許調査の小規模勉強会を開催する~全員営業で特許調査依頼を継続的に受注する~
(知財戦略支援部)
知財戦略支援部では、THOMSON INNOVATION(トムソン イノベーション)というデータベースを導入し、グローバルな特許調査サービスを提供しています。また、特許検索競技大会の入賞者も複数名所属しており、質の高い特許調査を可能としております。 今回の活動では、お客様から「自社でも特許調査ができるようなスキルを身につけたい」といったご要望が多かったため、それを実現すると共に当所との関係を深めていただき、お得意様(リピート顧客)になっていただくことをねらいとした小規模勉強会の開催向けて準備を進めることができました。
見積書作成のシステム化(国際管理部 出願グループ)
外国出願の費用について、お問い合わせが多く見積書作成に多くの労力を費やしていました。 例えば、米国とドイツと中国に出願する費用を見積もる場合、為替レートをふまえながら当所が取引をしている各国の特許事務所(代理人)の料金表から1か国ごとに出願費用を計算して3か国分の費用を見積もっていました。今回の活動では、当所と取引の多い17か国、36事務所から料金表の最新版を取り寄せてシステム化を図りました。料金表の入手や計算式の入力など、とても大変な作業でしたが、システムの構築により大幅な時間短縮を図ることができました。
誤記の研究~誤記の撲滅に向けて(その4)(国内特許第5部)
特許明細書における誤記は特許庁からの拒絶理由通知の対象になるため、明細書担当者は日頃から、誤記のチェックに多くのエネルギーと時間を費やしています。そのため同サークルでは、過去3回にわたり、効率的に誤記を検出する方法をQCで確立してきました。そして、4回目となる今回は、文章中の漢字とカタカナのみを抜き出して並び替えることにより、誤記を見つけやすくする仕組みを構築しました。明細書担当者の意識と品質を向上させる活動となりました。