その4 商標権の活用と注意点
2008.4.7
外国で商標権を取得することにより、登録された商標を指定された商品・サービスについてその国で独占排他的に使用することができます。その性質を活かして、他社が紛らわしい商標を使用した場合には、商標権に基づき、使用の中止を求めるなどの法的アクションをとることができます。また、商標を実際の商取引において継続的に使用することで、貴社の商標を外国市場に浸透させることができます。商標に接する消費者がその商品やサービスに満足する状態が持続されることで、商標に信用や名声が蓄積されていきます。
更に商標権は財産権として活用できます。自ら使用しなくなった商標権を他人に売って金銭を得ることができます。あるいは商標権を自分で所有したまま、他人に商標の使用を許諾する、いわゆる商標のライセンスという形での活用も可能です。ライセンスを受ける者(ライセンシー)からロイヤリティー(使用料)を得ることができます。外国で販路を開拓することが困難な場合など、地元の有力企業にライセンスを与えることで、双方にとってのメリットが期待できます。
このように商標権の取得は、海外で長期的ビジネスを行っていく上で多大な価値をもたらします。その一方で権利の活用において注意すべき点がいくつかあります。
まずは、登録された商標を登録された商品・サービスの範囲内で使用することです。商標の書体やロゴを変更したり、登録された範囲外の商品・サービスに使用したりすれば、他人の権利に抵触するおそれがあります。更には、第三者から不使用取消審判を請求された場合、登録商標の使用とは認められない場合があります。商標態様を変更する場合や商品・サービスの範囲を拡張する場合には、新たな商標出願を申請して登録を取得しておく必要があります。
また、ライセンスについては、国によってはライセンス契約書の届出が必要なところがありますので、その国の制度を調べておく必要があります。また、米国、カナダ、中国などでは、消費者保護のため、商標権者がライセンシーの品質を管理することを要求していますので、各国の制度にあった契約書の作成をしなければなりません。
最後に、登録商標でも普通名称化してしまえば独占排他的効力が無くなります。例えば、aspirin (アスピリン)、escalator(エスカレータ)、cellophane(セロファン)など、かつては特定の者が所有する登録商標であったものが、製品の一般名として広く認識されるようになりました。普通名称化を防ぐためには、宣伝広告物、販売促進媒体などの文章に商標を使用する際、商標に続けて一般名を記載するなどの適切な使用方法をとる必要があります。それと同時に、第三者が一般名として使用していないかどうか監視することも必要です。
