登録される商標とは
まず、識別標識として機能し得る個性的な特徴があることが大前提です。さらに、登録した場合、他人との関係において不具合が生じないことが条件となっています。
前者を、「登録要件」と言い、後者を「具体的不登録事由」と呼びます。
実際、どんな条件を満たせば、登録を受けることができるかといえば、商標法は、次の事由に該当するもの以外であることと定めています。
登録されない商標とは
自他商品・役務識別力のない標章
- 商品・役務の普通名称
- 慣用されている名称
- 記述的な表現
- ありふれた氏又は名称
- 極めて簡単、かつ、ありふれた標章
- その他、商品・役務を識別できないもの
具体例
1.商品・役務の普通名称
ex.「薬剤」について、商標「DRUG」/「靴の修理」について、商標「リペア」
2.慣用されている名称
ex.「清酒」について、商標「正宗」/「飲食物の提供」について、商標「レストラン」
3.記述的な標章
| 商品の産地・販売地 | ex.「茶」について、商標「宇治」/「靴類」について、商標「神戸」 |
| 商品の品質 | ex.「時計」について、商標「BEST」 |
| 商品の原材料 | ex.「石けん」について、商標「ぬか」 |
| 商品の効能 | ex.「薬剤」について、商標「快眠」 |
| 商品の用途 | ex.「包丁」について、商標「肉切り」 |
| 商品の数量 | ex.「清涼飲料」について、商標「1パック」 |
| 商品の形状 | ex.「照明器具」について、商標「ドーム」 |
| 商品の包装の形状 | ex.「絵の具」について、商標「チューブの立体形状」 |
| 商品の価格 | ex.「おもちゃ」について、商標「千円」 |
| 商品の生産の方法 | ex.「洋酒」について、商標「蒸留」 |
| 商品の生産の時期 | ex.「清酒」について、商標「冬仕込み」 |
| 商品の使用の方法 | ex.「缶のふた」について、商標「(プルトップの図解)」 |
| 商品の使用の時期 | ex.「洋服」について、商標「オールシーズン」 |
| 役務の提供の場所 | ex.「車両による輸送」について、商標「中部」 |
| 役務の質 | ex.「医業」について、商標「無痛」 |
| 役務の提供の用に供する物 | ex.「車両による輸送」について、商標「ワゴン」 |
| 役務の効能 | ex.「施設の警備」について、商標「防犯」 |
| 役務の用途 | ex.「資金の貸付」について、商標「マイカーローン」 |
| 役務の数量 | ex.「知識の教授」について、商標「週1」 |
| 役務の態様 | ex.「飲食物の提供」について、商標「セルフサービス」 |
| 役務の価格 | ex.「美術品の展示」について、商標「1000円」 |
| 役務の提供の方法 | ex.「衣服の貸与」について、商標「レンタル」 |
| 役務の提供の時期 | ex.「知識の教授」について、商標「夏期」 |
4.ありふれた氏又は名称
ex.「山田」、「SATOU」、「鈴木商会」
5.極めて簡単、かつ、ありふれた標章
ex.図形で「☆」、「□」
6.商品・役務を識別できないもの
ex.地模様のみからなるもの/「天国に一番近い島」のようなキャッチフレーズ
また、特定の役務について多数使用されている店名(上記4に該当するものを除く。)も本号の規定に該当します。
ex.「アルコール飲料を主とする飲食物の提供」及び「茶、コーヒー、ココア、清涼飲料又は果実飲料を主とする飲食物の提供」について、商標「愛」、「純」、「ゆき」、「蘭」等
但し、上記3〜5に掲げるものであっても、永年使用の結果、広く認識されている商標となった場合、特例として登録を認められることがあります。
ex.「ハム」について、商標「ニッポンハム」
具体的不登録事由
※全19項目ある内の、主な8項目です。
7.公の秩序や善良の風俗を害するおそれ
※構成自体がきょう激、卑わいな商標、指定商品又は指定役務について使用することが社会公共の利益や一般的道徳観念に反する商標、他の法律でその使用等が禁止されている商標、特定の国や国民を侮辱する商標その他の国際信義に反する商標、差別的若しくは他人に不快な印象を与えるような商標などが該当します。
8.他人の肖像、氏名、名称、著名な雅号・芸名・筆名等(その他人の承諾を得ているものを除く。)
「他人」とは、内外人の如何を問わず現存する自然人及び法人を指します。
10.需要者の間に広く認識されている他人の未登録商標と同一・類似であって、同一・類似の商品・役務について使用をするもの
たまたま登録されていなかった他人の著名な商標と同一・類似の商標が該当します。
11.他人の先願に係る登録商標と同一・類似であって、同一・類似の商品・役務について使用をするもの
外観・観念・称呼を総合的に判断して、他人の先願商標と混同を生ずるおそれのある商標。いわゆる類似商標が該当します。
13.商標権が消滅してから1年を経過していない他人の商標と同一・類似の商標
15.他人の業務に係る商品又は役務と混同を生ずるおそれがある商標
他人の著名な商標と同一・類似の商標を、その他人が扱う商品・役務とは非類似の商品・役務について使用した場合において、著名な商標の所有者若しくはこの者と何らかの関係がある者によって製造・販売され、あるいは役務の提供があったかのような印象を与えるものが該当します。
16.商品の品質又は役務の質の誤認を生ずるおそれがある商標
「紅茶」について「○○コーヒー」、「鉄道による輸送」について「△△海上輸送」などがこれに該当します。
19.日本国内又は外国で広く認識されて商標と同一・類似の商標であって、不正目的で使用するもの
我が国では登録されていないものの、外国では周知な他人の商標と同一・類似の商標であって、高額で買い取らせたり、外国の権利者の国内参入を妨害したり、代理店契約を強制する目的で先取り的に出願したもの。
なお、
上記8,10,15,19に該当する商標については、出願時において該当し、かつ登録(査定)時においても該当するものとなります。
